市街化調整区域の属人性とは?不動産の世界でこの言葉が使われる時はコレかも。

属人性とは

市街化調整区域では、建築行為が厳しく制限されています。

一方、建築をするだけの根拠がある人や会社に特例的に建築許可を出すことがあるのは当ブログで解説してきました。

その中で『人に焦点を当てて建築許可を出したもの』を”属人性”のある物件と呼ばれます。

建築許可が出にくい市街化調整区域の物件で”属人性”がある物件はとりわけ多く見られます。

以下のような許可は全て属人性がある物件と考えます。

分家住宅:『ずっと市街化調整区域に住んでいた鈴木さんの親族だから建築許可が出た』

農家住宅:『農家経営を継いでいる田中さんの長男だから建築許可が出た』

立ち退きで出来た家:『立ち退きに協力した池田さんだから市街化調整区域なのに建築許可が出た』

既存権利者の家:『1968年~1970年以前は市街化調整区域という概念が無かった。それよりも前から市街化調整区域の土地を持っていた人だから、建築許可された家』

逆に以下のような物件は基本的に属人性がないと判断されます。。

市街化調整区域にある日用品を取り扱うお店や飲食店など:都市計画法34条1号で許可を取った建物のこと。

※自己の業務用と認められる場合は除きます。

市街化調整区域だが基本的に建築できるエリアの家:都市計画法34条11号で許可を取った建物のこと

※要注意なのが、どんな建築物であっても「建築許可の経緯として、〇〇さんだから許可された」といった属人性の要素が認められる場合は、属人性があると判断されます。

すばる

ちなみに属人性は俗称のようなものです。この概念が出来る根拠となった都市計画法には属人性という言葉はありませんが、厳然として存在します。

市街化調整区域内にある住宅を調査していると、市役所の職員に「属人性のある物件ですから、用途変更の許可が必要です」

とか

銀行さんから「属人性がつく許可なので、不動産の評価が出にくいのです」

と言った感じで使われることがあります。

属人性がある物件のデメリット

属人性のある物件は「Aさんだから建築許可された家」ということですので、そこにBさんが住むことは想定していません。

AさんではなくBさんが自治体の許可無く住むことになれば、都市計画法に違反することになります。

考えられるペナルティは、再建築の不可と退去命令などの措置や罰金・懲役などです。

属人性のある物件を買った人が最もリスクを負う羽目になります。

許可無く住むのが何故NGなのかと言うと、「(原則は許可しない市街化調整区域だが)Aさんだからこそ建築許可をした」という事実が重要だからです。

こうした家にAさん以外の人が住むことを容認してしまうと、悪だくみする不動産屋さんや建築会社が出てきて以下のような事態も起きるでしょう。

Aさんのような立場の人が名義貸しをしまくって、「〇〇さんだから建築許可が出た家」が乱立することもあり得ます。

だから都市計画法でそのような事が起きないように、属人性のある物件は許可制になっているんですね。

なのでBさんが住めるようにするには、自治体に許可をもらう必要があります。

詳しくはこちらをご覧ください。

市街化調整区域の用途変更とは?知らずに物件を買った人は破滅する。

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