農家住宅と分家住宅の違い、共通点。どちらも第三者が住むと大問題が起きる?分かりやすく解説。

いきなり結論

農家住宅と分家住宅は、どちらも建築許可が厳しい市街化調整区域で自宅を建てるための手段です。

農家住宅は開発許可が不要で、分家住宅は開発許可が必要という大きな違いはあるものの、どちらも「自分専用の特別な建築許可」という点では一緒です。

農家住宅や分家住宅は「自分専用の家」なので、第三者が購入すると再建築不可となるため、不動産価値がゼロに近くなります。

これを避けるには、自治体に「第三者へ売却する」許可を取って売却をする必要があります。

許可の基準は、大体の方向性は同じですが細かく見ると自治体によって様々です。

農家住宅と分家住宅の違い

農家住宅は建築が難しい市街化調整区域の中で、特例として開発許可さえも不要で自宅を建てられます。

農家の人は市街化調整区域に農地を持っているケースが多いため、その近くに自宅を構えることが出来ないと不便を強いられてしまいます。

そのため特例として建築が可能となっているのですね。

ただし、農家としての実態などは細かく審査されます。

宅地になる土地の大きさは1,000㎡までが許可されます。

農家住宅とは。知らなかったでは痛すぎる売買の注意点、用途変更まで分かりやすく解説します。

分家住宅は農家以外の人でも市街化調整区域で自宅を建てられます。

分家住宅を建てるためのアプローチは複数あって、代表的なのは「市街化調整区域に長く住んでいる親族がいる」ことを理由に許可を貰うケースです。

2020年現在、埼玉県では市街化調整区域の土地を買って分家住宅を建てることが出来るため、割と身近な存在です。

分家住宅の土地の大きさは500㎡までが上限です。

市街化調整区域の分家住宅とは?デメリットも含めて解説します。土地を売りたい人も必見!

農家住宅と分家住宅の共通点

どちらも「自宅が無い場合にのみ、建築許可が出る」「市街化調整区域に家を建てる数少ない手段」であることは共通しています。

最大の共通点は”誰が住むか”が建築許可の時点で確定してしまっている部分です。

農家住宅も分家住宅も、”誰が住むか”という点がポイントになっています。

”誰が住むか”が問われる建築許可のことを、自治体等では”属人性”のある許可と呼んだりします。

農家住宅・分家住宅も、Aさんが住むために、特別に市街化調整区域の土地に建築が許可された家というイメージです。

問題が起きるのは、Aさんの家が売却・賃貸されるなどして、第三者のBさんが住むケースです。

この場合、都市計画法に違反することとなりBさんが住むこと自体、違法となるのです。

加えてBさんには家の建て替えの許可も下りることはありません。

自治体が建築確認申請に関わりを持っているため、再建築のタイミングで必ずバレます。

この時に発覚すると、もはや手遅れになります。

そのため、「Aさんの家を購入するBさんが住みます」ということを自治体に相談して許可を取ることが重要なポイントになります。

これを用途変更の許可と言います。

農家住宅と分家住宅の用途変更

さて、何故こんなにも厳しく不動産の売却すら厳しい状況になってしまっているのでしょうか?

すばる

さすがに理不尽じゃないの?どうして売買するのにも許可を貰わなきゃいけないのさ!
確かになあ。でも許可を取らないと買った人から最悪訴えられちゃうよ。たとえ再建築不可として売り出したとしても、住むのも違法じゃ話にならない。

みみ

その根拠は都市計画法42条と43条で定められています。

都市計画法42条と43条が言おうとしていることは以下になります。

市街化調整区域内の建物は、許可無く用途(=使い方)を変えてはいけません。これは開発許可を受けていようが、受けていまいが関係なく適用されます。

※これに違反すると監督処分や罰則があります。

というわけでして、農家住宅と分家住宅を売るには”用途を変える”=”用途変更”の許可が必須となっています。

ここで言う用途変更とは、Aさん専用の家をBさん専用の家に変更することも含まれます。

すばる

必ず用途変更の許可はもらえるの?
許可されるには審査基準をクリアしないとダメなんだ。

小森谷

埼玉県の場合の審査基準(例)

  • 建築許可を受けてから5年以上経過していて、破産・生活困窮・経営状況の悪化・その他の生活環境の著しい変化(死亡・病気など)のため引越しを余儀なくされた場合
  • 建築許可を受けてから20年以上経過している場合

これについては農家住宅分家住宅の記事でも細かく解説していますので、そちらも確認ください。

まとめ

今回は”農家住宅と分家住宅の違い、共通点。どちらも第三者が住むと大問題が起きる?分かりやすく解説。”というテーマで解説しました。

違いとしては建築された理由・根拠はそれぞれ別ものだということです。土地の大きさも違いますよね。

しかし、どちらも共通して注意が必要なポイントもありました。

農家住宅・分家住宅のどちらも”属人性”という性質を持っているがために、「誰が住むか」さえも法律で縛られてしまっている面があるのでしたね。

今後もずっとその土地に住むのであれば問題が起きることはないでしょう。

しかし、誰かにその家を譲るなどの事情が発生した場合、どちらも困ることになるわけです。

みみ

今回は書きませんでしたが、家を貸す場合も同じく用途変更が必要です。

これらは市街化調整区域の特殊ルールであって、どこの不動産屋さんも知っているような知識ではありません。

なので、相談する相手も良く考えて行動してみてくださいね。

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