市街化調整区域で店舗を建てたい!そんな思いのある方に向けた記事です。

いきなり結論
原則として建築が制限されている市街化調整区域であっても、そこに居住する人達の日常生活の向上に寄与する以下の建物は許可が出ることがあります。

 

幼稚園・学校・保育所などの公共施設

地域密着型サービスを提供する施設と認められるもの

特別養護老人ホーム・老人短期入所施設

診療所(病院・クリニック)・助産所

小規模の店舗・飲食店・理容店

柔道整復師・鍼師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師の施術所

自動車修理工場

上記結論の根拠となっているのが、実は都市計画法34条1号なのです。

なので、この法律を理解すれば、どういった店舗を建てることが出来るのかは理解できることになります。

市街化調整区域でお店を出すなら、都市計画法34条1号をわかりやすく解説

第三十四条
一 主として当該開発区域の周辺の地域において居住している者の利用に供する政令で定める公益上必要な建築物又はこれらの者の日常生活のため必要な物品の販売、加工若しくは修理その他の業務を営む店舗、事業場その他これらに類する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為

出典:都市計画法 e-Govウェブサイト

上記法律が言おうとしていることは以下のようになります。

たとえ厳しく建築が制限されている市街化調整区域であっても、その周辺住民の日常生活に貢献するような建物や、店舗などは開発許可をして建築可能としている」ということです。

なぜなら市街化調整区域と言えど、幼稚園や学校が無ければ義務教育が成立しなくなりますし、病気やケガにあっても病院や治療院が無ければ非常に困ります。

ラーメン屋さんなどの飲食店や食堂が一切建てられなければ、付近の住民は外食もできません。

髪の毛を切るのにも床屋さんが無いので市街地に出なければならないのでは、困りますよね。

日用品が切れても近くで買い物できないのでは厳しいですから、これも許可されないと困ります。

店舗:許可が出るのは小規模なお店に限られる。(全国共通)

ポイントとしては、「主として当該開発区域の周辺の地域において居住している者の利用に供する政令で定める公益上必要な建築物」のくだりにある通り、市街化調整区域に住む周辺住民がメインで使うようなものに限定されています。

だから、大きすぎる店舗というのは不自然です。許可が出ないことになります。

例えば、この法律を元にパチンコ屋さんやゲームセンターを作りたいと申請しても周辺住民以外からの集客がメインになる可能性が否めません。

よって許可は出ないでしょう。そもそも、この法律で上記のような遊戯施設は想定していませんが・・・

こんな感じで地域住民の方々の暮らしに貢献するかが重要なポイントになってきます。

店舗:日常生活に関わる店に限定されている(全国共通)

さらに、「日常生活のため必要な物品の販売、加工若しくは修理その他の業務を営む店舗」のくだりに注目です。

日常生活を送る上で、最低限これは必要だろうという建物でなければいけません。

代表例としては、床屋さんとかコンビニエンスストア等が挙げられます。

店舗:既存の集落内に立地する必要がある。(埼玉県のルール)

みみ

店舗の立地が悪すぎてサービスを受けに行く人が極端に少ないなどの要素があれば、法律の主旨を満たさないので許可が出ないかもしれないね。
その通り、だから既存の集落と言って、ある程度昔から家が建っているようなエリアに立地している必要があるんだ。

小森谷

1 開発区域
開発区域は、埼玉県都市計画法に基づく開発許可等の基準に関する条例第6条第1項第2号イに規定する既存の集落内に存すること。

出典:埼玉県 第8章 市街化調整区域の立地基準

既存の集落でないと許可が出ないのは、これを条例として定めている埼玉県のお話です。

他の都道府県では、この基準がないケースも当然あります。

すばる

市街化調整区域内の立地について、制限がない都道府県もあるってことだね。

実際問題、お客さんが来なければ商売になりませんので、どっちにしてもニーズがありそうな場所に店舗を構えるのが自然ですよね。

都市計画法34条1号で建築できるもの

以下のような建物が許可される可能性があります。

予定建築物
予定建築物の用途及び規模は、次のいずれかに該当するものであること。
(1)政令第21条第26号イに該当する建築物で次のいずれかに該当するもの
(ア)市町村が設置する小学校、中学校
(イ)幼稚園
(2)政令第21条第26号ロに該当する建築物で次のいずれかに該当するもの
(ア)保育所
(イ)市町村が指定した事業者が行う地域密着型サービスを提供する施設(ただし、当該市町村の住民のみの利用に供するものに限る)
(ウ)特別養護老人ホーム又は老人短期入所施設(ただし、主として当該開発区域の周
辺の地域において居住している者の利用に供するものに限る)
(エ)(ア)から(ウ)以外の施設で、施設利用者が通所する施設(ただし、入所のための設備が設置されないものに限る)
(3)政令第21条第26号ハに該当する建築物で次のいずれかに該当するもの
(ア)診療所
(イ)助産所
(4)建築基準法(昭和25年法律第201号)別表第2(ろ)項第2号に掲げるもの
(5)あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師の施術所であって、床面積の合計が150平方メートル以内のもの
(6)自動車修理工場(専ら自己の業務用自動車の修理整備を行うもの、自動車の販売を行うもの又は自動車の解体を行うものを除く。)又は農機具修理工場であって、作業場の床面積の合計が300平方メートル以内のもの
(7)農業協同組合その他の農林漁業団体の事務所

出典:埼玉県 第8章 市街化調整区域の立地基準 192ページより

これが埼玉県の市街化調整区域内でのルールとなりますが、各市町村でも独自の許可権限を持っている場合はそれに従うことになります。

すばる

たくさんあるんだねえ!

店舗についてですが、”(4)建築基準法(昭和25年法律第201号)別表第2(ろ)項第2号に掲げるもの”とは、第二種低層住居専用地域で建てられる店舗を指しています。

つまり、以下のような店舗になります。

二 店舗、飲食店その他これらに類する用途に供するもののうち政令で定めるものでその用途に供する部分の床面積の合計が百五十平方メートル以内のもの(三階以上の部分をその用途に供するものを除く。)

出典:建築基準法 別表第二  e-Govウェブサイト

床面積が150㎡以内でないと許可が下りませんが、飲食店だとファミレスでも作ろうとしない限りはこの規定に引っかかることはなさそうですよね。

コンビニエンスストアも、この規定にて店舗を作ろうとすれば、比較的小規模なものになるはずです。

小森谷

余談ですが、コンビニエンスストアは都市計画法34条1号の基準でも建築できますし、都市計画法34条9号の基準でも建築可能です。違いとしては面する道路の規模や駐車場の大きさ等でどちらの許可で建築したかがわかります。撤退して空き店舗になった場合、前者ですと中華料理店が入ったり治療院が営業できますが、後者ではそれが出来ません。

店舗併用住宅は建築可能か?

残念ながら今回の法律を根拠にした許可は出ません。

なぜなら営業活動を認めるだけであって、そこで暮らすことまでは想定していないからです。

150㎡の床面積まで建築OKなら、一緒に住居部分も設けたくなるでしょう。

しかし、これをやってしまうと違反建築物となってしまいます。

完了検査チェックの際に発覚してローンが実行されなくなったら、人生詰みます。

市街化調整区域でまっとうに店舗併用住宅を新しく建てたいのなら、都市計画法34条11号が定める11号区域が候補となります。

愛知県の基準

市街化調整区域内でできる開発行為 

都市計画法34条1号で建築できるもの1

都市計画法34条1号で建築できるもの2

出典:日常生活上必要な物品の販売、加工、修理を営むための店舗等の施設及び公益上必要な建築物。(1号) 許可基準

上記の表が見づらい場合、直接リンクから許可基準をクリックして確認をしてみてください。

3ページ目にこれと同じ表が出ています。

愛知県では実際に建てられる施設等がリストアップされているので、こういうのは分かりやすくて良いですね。

小森谷

埼玉県の許可基準と比べても、同じような内容になっていることがわかりますね。これは都市計画法34条1号という同じ法律を元に都道府県が許可しているからです。

まとめ

今回は”市街化調整区域で店舗を建てたい!そんな思いのある方に向けた記事です。”というテーマで解説しました。

市街化調整区域でも今回お話ししました都市計画法34条1号を元にして、建てることのできる店舗がたくさんあることがご理解頂けたと思います。

柔道整復師さんの接骨院・整骨院などが建てられるのも、自動車修理工場もこれです。

この法律を根拠にできたお店のことを、”1号店舗”と俗に呼んでいるプロや市役所の人もいるんですよ。

今回は市街化調整区域の店舗と密接な関係にある都市計画法34条1号を解説しました。

実際には、他にも様々な法律が絡んでいて、それら全てをクリアしないと建築はできませんのでご注意くださいね。

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