市街化調整区域の用途変更とは?知らずに物件を買った人は破滅する。

いきなり結論

市街化調整区域の物件で賃貸・売買を行う際には、都市計画法に違反しないかどうかを自治体へ確認します。

これは市街化調整区域で賃貸・売買を行うには、都市計画法42条・43条の用途変更の許可が必要であるためです。

用途の変更に該当すると、賃貸・売買が出来ないことがあります。

特に許可無く売買すると、将来的に再建築不可となることもあるため買主は立ち直れないダメージを受けますし、売主と不動産会社は訴訟に怯えることになります。

自治体の許可を取ることによって、合法的に賃貸・売買を行うことができるようになりますが、自治体が設定する許可基準をクリアする必要があります。

よって、市街化調整区域の物件を賃貸・売買する前に市街化調整区域に詳しい不動産会社・行政書士等へ相談することが重要です。

市街化調整区域での用途変更の考え方を理解しよう

そもそも、なぜ市街化調整区域では賃貸・売買を行うのに注意が必要かをご説明します。

それは下記2つの法律によって、賃貸・売買を行うのを制限されているからというのが大きいのです。

(開発許可を受けた土地における建築等の制限)
第四十二条 何人も、開発許可を受けた開発区域内においては、第三十六条第三項の公告があつた後は、当該開発許可に係る予定建築物等以外の建築物又は特定工作物を新築し、又は新設してはならず、また、建築物を改築し、又はその用途を変更して当該開発許可に係る予定の建築物以外の建築物としてはならない。

出典:都市計画法 42条 e-Govウェブサイト

(開発許可を受けた土地以外の土地における建築等の制限)

第四十三条 何人も、市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内においては、都道府県知事の許可を受けなければ、第二十九条第一項第二号若しくは第三号に規定する建築物以外の建築物を新築し、又は第一種特定工作物を新設してはならず、また、建築物を改築し、又はその用途を変更して同項第二号若しくは第三号に規定する建築物以外の建築物としてはならない。

出典:都市計画法 43条 e-Govウェブサイト

これらの法律で、市街化調整区域のほぼ全ての建物は新築・改築・用途の変更について許可制となっています。

改築は建て替えのイメージでOKです。

一応、下記のような建物については許可無く新築・改築・用途の変更をすることができますが一般の人には全く縁がありません。

  • 非常災害のため必要な応急措置として行う建築物の新築など
  • 仮設建築物を建てる
  • 埋立地の開発区域内で行う新築など
  • 国又は都道府県が行う建築行為
  • その他、政令で定める行為

市街化調整区域で賃貸・売買を行うということは、上記法律の”用途の変更”に該当することになります。

用途の変更とは、『①何のために建物を使うのか②どのように建物を使うのか③誰のために建物を使うのか』などの点が変わることを言います。

大したことでないように思うかもしれませんが、思った以上に制限される範囲が広いので解説します。

用途変更の許可が必要なケースとは

1.市街化調整区域の自宅を賃貸したいとき

「自分用の家」が「賃貸用の家」になると解釈されるため許可が必要になる可能性があるわけです。

みみ

賃貸に出すのも建物の使い方が変わるから用途変更の許可が必要と言われることが多いんだ。元々、賃貸用に建てられた建物なら許可不要なんだけどね。
市街化調整区域での建築許可が、多くのケースで”自己用”とか”自己の業務用”として許可を受けているため、賃貸するのが難しくなっているんですね。

小森谷

参考リンク:市街化調整区域非賃貸建物問題(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)

Wikipediaでも市街化調整区域では賃貸が出来ない!というページが作られていますが、まさにその通りです。

2.自宅を店舗にして市街化調整区域で商売を始めたいとき

これも「自己用住宅」が「店舗」になるので、用途変更の許可が必要になります。

※自宅を壊して、店舗に建て替えするのも許可が必要になってきます。

同様に、「倉庫」を「工場」にするとかも用途変更の許可が必要となっています。

3.分家住宅農家住宅を売却して、第三者が購入して住む時

持ち主が変わると、用途変更の許可が必要です。

許可無く売却すると、購入した人は合法的に住むこともできません。

再建築時には、自治体に許可がないまま居住していることが発覚して建築確認の許可が出ないため、建築ができなくなります。

すばる

なんで発覚しちゃうの?
建築確認申請をするときに、自治体が関与している部分があるからバレるってことだね。当時の建築許可のデータを自治体は持っているから、建て替えの時にもおかしな点はないかチェックしてる。そして自治体は、違法性のあるものには許可は出さないんだ。

みみ

市街化調整区域の家を売却するときは、こういった最悪なパターンにならないようにしなくてはなりません。

もしこうなると、買った人は計り知れないダメージを受けます。

売った人と売買を担当した不動産業者は、ケースによっては訴訟に怯えることになりそうです。

黙って売買をすると誰も得することが無いので、許可が必要か確認する必要があるわけですね。

用途変更の許可基準

埼玉県の場合の審査基準

1.建築許可を受けてから5年以上経過していて、破産・生活困窮・経営状況の悪化・その他の生活環境の著しい変化(死亡・病気など)のため引越しを余儀なくされた場合

2.建築許可を受けてから20年以上経過している場合

3.工場を倉庫として利用する場合など

ここで注目したいのは、2のケースです。

建築許可を受けて工事完了後、10~20年という一定期間が過ぎていると許可が降りる可能性があります。

逆に短期間での場合はいわゆるローン破産など、深刻な理由が無ければ許可は得られないと思われます。

小森谷

自治体によって独自の審査基準、ルールを定めていることが多いので詳しくは調査が必要です。

用途変更にかかる費用

埼玉県ですと、以下のような申請手数料がかかってきます。

都市計画法42条ですと27,000円、43条ですと7,100円~といった具合です。

実際には市街化調整区域の用途変更のノウハウがある行政書士の先生等に依頼するのが間違いないので、報酬を別に支払う必要があります。

用途変更が許可されないケース

1.適法状態ではないと自治体に見られてしまう場合

そもそも建築当時に許可を取得していなかった(許可無く建築)

農地を違反転用していた

違法建築であることが判明した

その他の法律に違反していることが分かった

こういった事が分かると、まず許可は出ません。

許可を貰うには、違法建築を是正するなどの適法状態にする必要があります。

2.審査基準に該当しないケース

先ほど挙げたような、自治体が用意している用途変更の許可基準でOKを出せないケースのことです。

正当な理由なく、許可は出ないのが現状です。

用途変更の許可が不要とされるケースもある

これは自治体から「都市計画法42条・43条に該当しない」と認められれば、面倒な用途変更の許可が不要となります。

考えられるケースとして以下のようなものがあります。

属人性のない住宅を売却して、購入者が住宅のまま使う。

用途の変更が無いため、許可が不要と言われることの多いケースです。

属人性については下記のページを確認ください。

市街化調整区域の属人性とは?不動産の世界でこの言葉が使われる時はコレかも。

②用途変更せず、賃貸で使う。(利用者だけが変わる)

これは自治体等によって判断が分かれるかも知れません。

さらに言えば、当時店舗がどのように建築許可されていたかによって可否が分かれます。

小森谷

1つ言えるのは、属人性があると認められた建物は許可が必須だということです。

自治体へ事前に相談するのが一番だが、時間がかかるのに注意

市街化調整区域の賃貸・売買の相談は自治体の職員も慣れていないことが多いです。

絶対的に案件が少なく、判断基準も複雑ですからね。

私個人の体験談ですと前もって相談をして、正式に自治体から回答してもらったのが1か月後となったことがありました。

すばる

ちょっと悠長だな~。

まとめ

今回は”市街化調整区域の用途変更とは?知らずに物件を買った人は破滅する。”というテーマで解説しました。

なんだか物凄く面倒だな!と思ったかもしれません。

その通りです。

市街化調整区域の物件は、売買するにも賃貸するにも今回紹介した法律によってガチガチに縛られているため本当に要注意です。

相続等で市街化調整区域の物件を取得した場合、広い敷地の手入れや草刈りなどが不可能な人もいます。

固定資産税もかかるので売却したいとなっても、用途変更の許可が貰えないと売れないケースがあるんですね。

「用途変更の許可が出ないため、合法的には住めないです。再建築も無理です」では売却が困難になるのは言うまでもありません。

市街化調整区域の物件は、このように用途変更と大きな関わりがありますので弊社のような取り扱いに慣れている不動産会社に相談してみてくださいね!

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