建売で浄化槽つきの物件について【知っておくと、物件選びで失敗しません】

そもそも、浄化槽とは一体なに?

不動産のライフライン情報に、”浄化槽”という文字を見たことはありませんか。

浄化槽は、公共下水道が通っていない地域において広く使われている排水設備です。

浄化槽は小型のタンクで、汚水や雑排水をキレイにしてから近くの側溝に流してくれる大事な役割をしてくれます。

浄化槽とブロア

外観はこんな感じで、駐車場となっている土間コンクリート部分や庭の一部に浄化槽があることが多いです。

ブロアは建売住宅会社から必ず受け取りましょう

ブロアとは、浄化槽を利用するにあたって必要となる重要な装置です。

浄化槽内部の汚水をキレイにするために、休まず働いてくれます。

これが建売住宅ならではの事情なのですが、現場に新品未使用で置いておくと盗まれることがあるのです。

すばる

新品で購入すると1~2万円前後するから、悪い人が盗んでしまうみたい。困るよね。

そのため売主である建売住宅会社が、引渡しの直前にブロアを持ってきて宅内に隠して置いてくれるんですね。

基本的にブロアの設置は買主が依頼した浄化槽維持管理をする業者で行うことになりますが、その際にどこにブロアをしまってあるか分からず困ることがあります。

売主にブロアはどこにあるのか、引渡しの時にでも確認をするようにしてくださいね。

ポイント:引っ越したら、トイレを使う前にまずはブロアをメンテナンス業者に設置してもらう。

浄化槽のメンテナンスは3つ(保守点検・清掃・法定検査)

法律で以下の3つのメンテナンスをすることが決まっています。

ですが、費用負担をする以外は業者さん任せでOKです、自分でやることは特にありませんのでご安心を。

①保守点検:1年に3~4回、消毒薬の補充や浄化槽の点検をします。

②清掃:1年に1回、溜まった汚泥を取り除いてキレイにします。

③法定検査:1年に1回、水質検査を行って浄化槽の機能が万全かをチェックする検査です。

みみ

清掃=汲み取りとも呼ばれているよ。

ここでポイントになるのが、①②③のすべてのメンテナンスをできる会社に依頼した方が楽チンだということ。

①保守点検をA社、②清掃をB社、③法定検査をC社なんてことにしたら、色々と煩わしいことこの上なし。

すべてあなたの会社にお任せしますよ、という契約を一括契約と呼びます。

出典:埼玉県庁 浄化槽の維持管理(保守点検・清掃・法定検査)は一括契約がおすすめです。

少なくとも、①保守点検と②清掃のどちらもできる会社で依頼した方が楽です。

建売住宅会社から浄化槽のメンテナンス会社については紹介してもらえたりしますので、一括契約または保守点検と清掃どちらもできる会社か確認してみてください。

浄化槽の維持管理費用はどれくらい?

これは地域差が大きいようです。

10年以上前の環境省の資料によると、以下の通りとなっています。

これですと、一般的な5人槽タイプの浄化槽維持管理費で年間59,000円となっています。

しかし、最近はブロアの電気代がエコ化して安くなってきているようです。

すばる

これは嬉しい情報だね!

ブロワーは、24時間365日動き続けないといけない機械です
そうなると、電気料金も1年間かかります。

古くなったブロワーと、新しいブロワーの年間電気料金を比較すると8000円以上差があるみたいです

出典:富士コントロール 浄化槽日記Vol.80~ブロワーの電気料金~

今は新しいブロアになっていますからそこは考慮できます。

どちらにせよ、年間で5万円前後かかると見ていた方が良さそうですね。

浄化槽地域では、下水道料金はかからない代わりに上記の費用がかかってくることになります。

毎月4,000円~4,500円と考えると、今の下水道使用料金と比較していかがでしょうか?

ご家族が多くて水を沢山使うご家庭の場合は浄化槽の方が割安になったりします。

理由は、下水道使用料金は水道の利用料に比例して増えるからです。

小森谷

逆に2人暮らしなどで水道をあまり使わないご家族ですと、浄化槽物件は下水道使用料に比べて割高に感じると思います。

浄化槽の汲み取りの目安

浄化槽は毎年1回以上、清掃(=汲み取り)しなければならないと法律で定められています。

しかし、浄化槽地域に住む方に汲み取りの頻度を聞くと「状態がキレイなので管理会社から2年に1回で十分といつも言われている」「汲み取りは2年に1度しかやっていない」

などのお話をリアルに聞くことがあります。

清掃・汲み取りが20,000円を超えて出費として一番大きいので、2年に1度にすれば大きく負担は減りますが法律上は違反してしまいますのでご注意ください。

恐らくですが、清掃・汲み取りを行わずとも実際に罰則を受けるようなことがほとんどないため、そういうご家庭が存在するのだと思います。

※浄化槽法を知っている人は少ないため2年に1度の汲み取りが法律違反と知っている人は稀でしょう。

将来、下水道が整備されたらどうなる?

これは大事なことでして、下水道が整備されることになれば下水道の利用に際して受益者負担金という費用を払うことになります。

浄化槽があるから要らないよ、という訳にはいきません。

下水道への接続が義務となっているからです。

よって、当店では浄化槽物件の場合でも「将来、下水道の整備計画はありますか?」と市役所の下水道課で確認をするようにしています。

小森谷

将来的に下水道が整備する予定の地域は、教えてくれることがあるからです。少なくとも整備予定がない場合は、”ない”と教えてくれます。

浄化槽の寿命について

実際のところ、どのくらい浄化槽が持つのかは気になるところだと思います。

私は建売住宅会社に勤めていた時から、浄化槽が約30年とお伝えしています。

浄化槽メンテナンス会社の方に何人かお聞きしたところの平均値だからです。

質問 浄化槽の耐用年数はどれくらいですか

回答 浄化槽本体は30年以上と言われていますが、ブロワや一部部品は消耗品です。異臭や不快臭があったときは、保守点検業者に連絡をして点検等を行ってもらってください。

出典:藤沢市ホームページ 浄化槽の耐用年数はどれくらいですか

そしてブロアの寿命は10年持てばラッキーくらいの認識です。

交換するのは当たり前のことですが、タダではありません。

総合的に考えると、費用面では下水道物件よりも割高になる可能性が高いことはご承知ください。

まとめ

今回は”建売で浄化槽つきの物件について【知っておくと、物件選びで失敗しません】”というテーマで解説しました。

浄化槽物件ならではの面倒・手間というのは信頼できるメンテナンス会社が見つかれば業者任せでOKですからありません。

しかし、費用面はそれなりの出費があるということです。

実際のところ浄化槽地域にしかない魅力があるケースも多く、浄化槽だからNGという思考は勿体ないということも覚えておいてください。

パッと思いつくだけでも、以下のような希望をかなえやすいのが浄化槽地域の物件だったりします。

  • 静かな環境で落ち着いて暮らしたい
  • のどかな環境が好きだ
  • 広くてゆとりのある土地が良い
  • 駐車場が3台欲しい
  • 価格はできるだけ安く抑えたい

こういった物件は浄化槽の地域だったりしますからね。

どれも生活するにあたって、魅力を感じませんか?

みみ

浄化槽地域だからこそ、気に入った物件が出ることは良くあることです。
北関東だと、浄化槽地域は決して珍しくないので良く理解した上で物件を考えてみてください。

小森谷

下記よりLINEでお気軽にお問い合わせください。

埼玉県久喜市の不動産屋さん スマイルホームが不動産・住宅ローン・その他色々の質問・相談に答えます!