団体信用生命保険の審査と告知書の正しい書き方

猫 寝てる ごろん

この記事は次のような人に向いています:住宅ローンを利用する全ての方

小森谷

元保険会社の社員である私が説明します。
団体信用生命保険、略して”団信”だね。

すばる

団体信用生命保険=住宅ローン最後の関門

団体信用生命保険は住宅ローンを借りた人が死亡・所定の高度障害になりローン返済ができなくなった時に備えるための保険です。

そういった万一のことが起きた場合、効果を発動してローンの負債が0円になります。

銀行からしても、返済がされますのでありがたい保険な訳です。

だから大半の金融機関では住宅ローン貸し出しの条件として、団体信用生命保険の加入を必須としています。

団体信用生命保険は、名前のとおり生命保険の1種ですから加入前に審査があります。

ここで謝絶(=保険加入できませんということ)になれば、住宅ローンは借りられないのです。

すばる

どうして団信にも審査があるの?
住宅ローンは長い年月かけて返すもの。途中で死んじゃいそうな人が団信入れたらマズイのにゃ。健康な人が前提で保険料は決まっているから、病気の人が無条件に入れたら不公平でしょ?

みみ

住宅ローンの利用者は30代後半~40代前半がボリュームゾーン。

過去に1度くらいは病気にかかっていたり、高血圧などの生活習慣病に診断された方も決して少なくはありません。

むしろ「過去の健康診断で指摘もないし、全く病気になったことはない」なんて人は40歳過ぎてくると稀ですね。

団体信用生命保険のことはみんな心配なんです。

この記事を見れば、団信であなたがすべきことが明確になると思います。

審査は告知書を元にして行われる

団信の審査はあなたが書いた”申込書兼告知書”の紙1枚で行われることになります。

特に告知すべきことが無ければ基本的に審査OKとなるのも、こういった理由からです。

ちなみに一定の金額以上を借りた場合に健康診断結果を提出することが求められる銀行もあります。

しかし、よほど高額でない場合は申込書兼告知書の1枚で審査が行われるという認識でOKです。

参考リンク:楽天銀行 団体信用生命保険 健康診断結果証明書の提出

診断書はちゃんと告知できていないと求められる

診断書は基本的に不要です。

診断書を求められる=書くべき情報が不足していたと考えられます。

正式な医学上の病名、薬の正確な名前等が書かれていなかったりした場合は考えられることです。

同様の理由で、「告知書を追記ください」と、ダメ出しを受けることもあります。

「肝炎です」ではダメでして、A型肝炎・B型肝炎・C型肝炎のどれかも書かなければ保険会社は審査できないと思われます。

理由はどの肝炎かで全くリスクが異なってくるからです。

告知書で聞かれること

一般団信=死亡・高度障害のみの保障では以下のような質問があります。

質問ですから偽りなく答えなければなりません。

①最近3ヵ月以内に医師の※1治療(※2指導・指示を含みます。)・投薬を受けたことがありますか。

※1 健康診断結果や人間ドック結果は告知の対象となる医師の治療には該当しませんが、結果、産業医等による療養の指示、各種指導を受けた場合には、その内容を告知書に記載してください。

※2 「指示・指導」とは、医師の診察、検査を受けた結果、再検査をすすめられること、治療・投薬・入院・手術をすすめられること、日常の生活指導・勤務上の制限・アドバイス等を受けることを言います。

ここでは直近の健康状態をチェックされます。

ここで手術を行っていたり、症状が安定しているとまでは言い切れない状態であると団信に加入しづらくなることが考えられます。

②過去3年以内に下記の病気で手術を受けたことまたは2週間以上にわたり医師の治療(指示・指導を含みます)投薬を受けたことがありますか。

※さらに「病気やケガで手術を受けたことがあるか」も聞いてくる保険会社もあります。

この場合は質問の範囲がさらに広くなります。

この質問の具体的に聞かれる病名等や解説は記事の後半に明記しています。

③手・足の欠損または機能に障がいがありますか。または、背骨(脊柱)、視力、聴力、言語、そしゃく機能に障がいがありますか。

この質問は高度障害に至った場合でも保険金が下りるために存在すると思われます。

例えば、両目が失明したりした場合は保険金が出ますから、既に失明に近い状態の方だと団信に加入しにくくなることが予想されます。

④過去1~2年以内に健康診断・人間ドックを受けて異常(要再検査・要精密検査・要治療を含みます)を指摘されたことがありますか。

①~③が保険会社で共通して聞かれてくることで、④は聞いてくる会社もあるという立ち位置の質問です。

この質問は「はい」に該当する方が多いと思います。

もしくは特約で3大疾病保障やガン団信を希望する場合、こちらも回答することになります。

保障を広げる=審査難易度もアップする

保障を広げるということは、審査の難易度も上がるということと解釈ください。

ガン団信を申し込みすることで聞かれる質問の範囲が広がり、一般団信の申し込みでは知られなかった病歴を告知するケースも出ます。

参考記事:団体信用生命保険の審査結果のすべて。回答は全6パターン。

こちらにある通り、保険会社はガン特約だけを否決して、一般団信で承認を出すケースも存在します。

しかし、その病歴をどう解釈して審査するかは保険会社の判断ですから、それが一般団信の可否判断にまで影響が及ぶことを否定することはできません。

ナイーブな問題ですが、時には高望みしないということも視野に入れてみましょう。

告知書は正直かつ正確に書くのがポイント。ただし、聞かれたことだけを答えれば良い

凄い当たり前のことなんですが、その当たり前が意外と難しいのです。

なぜなら、申込みをする人の心境は夢のマイホームを目前にした緊張状態です。

ちょっとしたことに気付かなかったり、勘違いをしてしまって失敗することが沢山あります。

それに加えて、一般的に不動産会社スタッフや銀行の担当者は団信について詳しくありません。

しばしば、彼らは適切なアドバイスに失敗します。専門分野外だからです。

例えば水虫、レーシック手術、虫歯、インフルエンザは告知すべきなのか?彼らは聞かれても曖昧に笑うだけかもしれません。(別記事で解説します)

私は新卒時に大手保険会社に入社していて数年の勤務歴があります。

当時は”生損保相互参入”が進行しており、どこの会社も損保会社が生保会社を経営スタートするなどしていたわけです。

私はそのため損害保険も生命保険も勉強しなければならない立場にありました。

今でも保険会社の元同僚と連絡をとっており、仕事に役立ちそうな最新の情報を仕入れています。

以前からの経験に基づく知識と、保険仲間から得た最新の知識で団体信用生命保険を解説していきたいと思います。

これから上記の意味をしっかりと説明していきますね。

正直に書く。もしも虚偽の告知をしたらどこまで調べる?

①正直に書く

保険には正直に書くというルールがあります。

虚偽の申告はNGです。

いざ保険適用の事例が起きた際にバレます。

保険会社が疑いを持ったり、事例が特定の条件下にあてはまった場合、徹底的な調査を行います。
※時には無条件に調査をするでしょう。

最低でも5年保管が義務付けされているカルテを確認するかもしれません。調査員が泥臭く聞き取り調査を行うかもしれません。

詳しくは書きませんが、保険会社の執念は凄まじいものがあります。

虚偽の告知への対応というのはコストの問題ではなく、”全員が同じ水準で生命保険料の負担をしあう”という公平の原則からも守らなければいけないものです。

「コストがかかるから、調査なんて大したことしないんだろ」とたまに聞くこともあります。

日本の生命保険会社はむちゃくちゃ金持ちです。

例えば日本生命の資産は国家予算並みというのをご存知でしょうか?

コンプライアンスが厳しく求められる世の中です、保険会社の対応も進歩しています。安易な虚偽の告知はやめましょう。

悪質な場合、保険会社は保険契約を一方的に解除もできます。

小森谷

例えばガンのように死亡率が高い病気を隠していたら、悪質なものと言えるでしょう。生命保険会社の作成する注意喚起情報にそのように読める文章があります。

申込時の書類にサイン・捺印をしますが、上記のように”虚偽の告知は保険契約の解除をされても構わないことを同意する”という意味も含められています。

実際に告知書を記入する場面で、あなたは告知書兼申込書にそのような文言が盛り込まれているのに気づくでしょう。

正直に書くことが1番なんです。

もし住宅ローンさえ借りられればOK、団体信用生命保険に加入しないでも良いと考えているのなら、フラット35が最適です。

金利がマイナス0.2%も下がります。

金利も下がって噓偽りなく、心も晴れやか。

みみ

虚偽の告知をして人生に爆弾を抱えるのではなく、正しい判断をしてメリットを享受してくださいね。

正確に書かないと、損するのは自分

②正確に書く

診断された病名だけ書く方がいますが、これだと情報不足です。

生命保険会社は正しい病名・治療期間・症状・通院の頻度・飲んでいる薬の種類・薬を飲む頻度もあわせて知りたいのです。

そして多くの病気では、好発する年齢(=発症年齢)というのがあります。

50代であれば、多少の高血圧は自然です。加齢とともに高血圧になるのは普通だからです。

同じ数値の20代高血圧症よりも審査は通りやすいのです。

生命保険会社は以上のような総合的な情報から、審査の可否を決めているんですね。

うつ病であれば処方中のお薬はリフレックスなのかレクサプロなのか、そこまで知りたいんです。

私たち一般人には分かりませんが、保険会社は飲んでいる薬で病気の深刻レベルを把握することができます。

あなたが「自分の病気は全然重いレベルじゃない」と自覚されているなら、なおさら正確に書きましょう。

情報不足で告知した場合、保険会社は楽観的に見てくれません。

むしろ悲観的に審査をすると思ってください。

ボランティア活動ではなくビジネスだからです。

保険の審査は査定医(審査医)が行います。生命保険会社に雇われている医師です。

みみ

査定医は医師であると同時にサラリーマンだにゃ。情報が少なくて疑問の残るものをムリに通して自分の責任問題になるより、落とすのが自然でしょ?

高血圧も症状が”軽い”又は”安定している”と判断されれば団信を通過します。

「高血圧だが正確に具体的に書くと落ちるかもしれない。あえて処方薬も書かない」

こういう判断はもったいないです。

「高血圧:治療期間2015年5月~ 月1度の通院 治療薬:アムロジン 朝夕1錠」

書かない情報があったことで、審査側が悲観的に思う余地が残るより、このような記入の方がベターだと言えます。

同様に”腸炎”ではダメ。”急性腸炎”なのか、”潰瘍性大腸炎”かで全然リスクが違います。

査定医はドクターであると同時に保険会社に勤めるサラリーマンです。

判断材料が少ない不安要素を抱えた告知書には否定的です。

だから正確に書くのは大事なポイントです。

リスクを承知で保険承認をした場合、その人があっけなく死んでしまったらどうでしょうか?社内でも責任問題が起きるのは想像に難くないでしょう。

健康診断結果・おくすり手帳があれば正しい告知に役立つ

正確に書くためにも、健康診断を受けている方は健康診断結果を手元に置いて書くのが良いでしょう。

医師の診療を受けた方はお薬手帳、処方薬の説明書(薬の名前が分かる)もあるとグッド。

これがあると無いとで大違いです。

高血圧症の方では血圧値が載っていますし、糖尿病の場合でも空腹時の血糖値などが確認できます。

脂質異常症・高脂血症・痛風・肝機能障害の方も数値を書くことまで求められるケースがあるので役立ちます。

団信の審査はここを見る

保険会社は薬の投与の仕方もチェックすると考えられます。

医師が薬を処方する方法にはステップアップとステップダウンという考えがあり、これを使い分ける疾病もあります。

薬の量や種類を徐々に増やすことをステップアップといい、薬の量や種類を徐々に減らすことをステップダウンと言います。

ステップアップは弱い薬から初めて治療スタート、ステップダウンは逆に出だしから強い薬を投与して一気に回復させる目的があるようです。

どちらの治療法かも、薬の種類や用法用量と治療期間がしっかり明記されていれば(完璧ではないにせよ)推測がつくでしょう。

こういった部分が曖昧であれば、悪い風に解釈される余地が増えて不利になります。

聞かれたことだけに答えよう

③聞かれたことだけを答えよう

告知書の内容は似通っていて、どこの保険会社でも質問形式の2番目が最もウェイトが大きい部分です。

質問の範囲が広く、告知してほしい具体的な病名が列挙して書いてあります。

みみ

ボクの経験的にもここで謝絶となってしまうケースが多い。2番目の質問が1番重要ってことだにゃ。

主な質問事項は以下の通りです。

例として第一生命保険株式会社の質問例を記します。

”過去3年以内に下記の病気で、手術を受けたことまたは2週間以上にわたり医師の治療(指示・指導を含む)・投薬を受けたことがありますか。”

■狭心症・心筋こうそく・心臓弁膜症・先天性心臓病・心筋症・高血圧症・不整脈

■脳卒中(脳出血・脳こうそく・クモ膜下出血)・脳動脈瘤・統合失調症・うつ病・神経症・自律神経失調症・てんかん・知的障害・認知症・アルコール依存症

■緑内障・網膜の病気・ぶどう膜の病気・角膜の病気

■ぜんそく・慢性気管支炎・肺気腫・気管支拡張症・肺結核

■胃かいよう・十二指腸かいよう・かいよう性大腸炎・クローン病・肝炎(肝炎ウイルス感染を含む)・肝硬変・肝機能障害・膵炎

■腎炎・ネフローゼ・慢性腎臓病(腎不全)・前立腺肥大症

■糖尿病(耐糖能異常含む)・リウマチ・膠原病・貧血症・紫斑病・甲状腺の病気

■がん(肉腫・白血病・リンパ腫を含む)・ポリープ

※「2週間以上にわたり」とは、一連の病気やケガで、医師の治療(指示・指導を含む)や投薬を受け、転院・転科を含め、初診から終審までの継続加療期間をいいます。(実際の診療日数ではありません。)

生命保険会社が変わると以下のような病気もリストに加わることがあります。

■精神病・双極性障害(躁うつ病)・ノイローゼ・パニック症候群・薬物依存症・不眠症・睡眠時無呼吸症候群

■のう胞腎・腎(尿路)結石・前立腺の病気

■白内障・眼底出血

■異形成・異型上皮

■脂質異常症・高脂血症・高尿酸血症(痛風)

■子宮筋腫・子宮内膜症・卵巣のう腫・乳腺の病気(乳腺症ふくむ)

■動脈瘤・動脈炎・静脈血栓症

ここでの重要ポイントは以下です。

”3年以内に下記の病気で~”とあるのですから、例えば4年前に完治した病気は書く必要がありません。

「下記の病気に該当しない病気」を書く必要もありません。(保険法37条を根拠)

聞かれたことにだけ答えれば良いと規定しているのが保険法37条です。

みみ

同時に、聞かれたことに該当するならば答えなければならないよ。

この質問から分かることは、保険会社は3年より前に完治した病気も審査しないということ。

保険会社は圧倒的な量の”人の生死に関するデータ”を保持しています。

その中で3年超の昔の病気は、団体信用生命保険の審査上は”重要ではない”と見ていることも分かりますね。

聞かれていることではないことは、相手にとっても余計な情報です。

書かないようにしてください。(なぜか書こうとしてしまう人が結構います)

もう1つ注意点があります。

健康診断を受けた際に

お医者さん「血糖値が高いねえ、このままじゃ糖尿病だよ」

と言われて”糖尿病”と書かないこと。

血糖値高い=糖尿病ではありません。

あくまでもお医者さんは警告しただけであり、診断を下したわけではありません。

団信の告知書を見せると多くの人が「うーん、どうだったっけ?」となんとか自身の健康状態を思い出そうとします。

混乱しがちですが、大事なポイントです。

以前、お客さまが”糖尿病”ではないけど、”糖尿病予備群”として、投薬名と症状を記入したことがありましたが、特に問題なく通ったことがあります。

つまり糖尿病ではないのですが、耐糖能異常を含んで告知が必要だったため、書く必要があったわけです。

その時に、「ああ、やはり糖尿病と診断されている前のレベルであれば保険会社はリスクは少ないと見ているのだな」と思いました。

まとめ

今回は”団体信用生命保険の審査と告知書の正しい書き方”というテーマで解説しました。

ぼーんやりと考えていた告知書の書き方が、はっきりと分かって頂けたら幸いです。

落ちてしまった時の対策も、今後解説していきたいと思っています。

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