市街化調整区域なのに建築の許可を誰でもカンタンにとれるエリアがあるのをご存知でしょうか。

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市街化調整区域なのに建築の許可を誰でもカンタンにとれるエリアがあるのをご存知でしょうか。

  • 2020年/5月/19日
  • 2020年/5月/19日
[memo title="いきなり結論"] 市街化調整区域では建築が原則として困難です。 しかし、例外的に誰でも建築許可が取得可能な市街化調整区域のエリアがあります。これを”都市計画法34条11号の区域”と呼びます。 11号区域では誰でも建築をすることが可能なことから、土地を売却することも比較的容易です。 こういった土地は自治体が廃止することもあり、既に埼玉県内では川越市・春日部市などで消滅しました。また、さいたま市のように最初から11号区域を設置しない自治体もあります。 自治体が条例で建築可能とするものを変更できるなど、資産価値に影響を及ぼすルール変更もあり得ることに注意が必要です。 [/memo] [say name="すばる" img="https://55smile.biz/wp-content/uploads/2019/08/70e183cf13277317cb6ad93b719b92ed-e1567387288921.jpg"]不動産屋さんにこの土地は市街化調整区域だけど誰でも家が建てられるからオススメだよ、って言われました。市街化調整区域なのに新築できるの?詳しく知りたいな。[/say] こんな方にオススメの記事です。 わかりづらくて膨大かつ複雑な法律知識を整理してサクッとお伝えします。 今回のテーマとなっているのは都市計画法34条11号を根拠としていますので、わかりやすく解説をします。 土地を買う人も、売る人にも必見です。

市街化調整区域なのに家を建てることができるのは都市計画法34条11号が理由

市街化調整区域はカンタンに言うと家などの建物を建てるのには強く制限が課せられていて、建てるには開発許可が必要です。 そんな市街化調整区域でも開発許可(=建築許可と言い換えてもOK)が容易に取りやすく、60~90坪以上の大きな土地に家を建てられる可能性があるエリアが存在します。 この誰でも建築許可が取れるエリアを、都市計画法34条11号の区域と呼んでいます。 都市計画法34条11号をわかりやすく言うと、 「市街化調整区域だけど、このエリアなら家を建ててもOK」とあらかじめ都道府県や市町村が定めても良いですよ。 って法律のことです。 [say name="小森谷" img="https://55smile.biz/wp-content/uploads/2019/08/a9f357c06210fb5db7f2cfbf6762d5ec-e1567231372381.jpg"]あくまでエリア指定しても良いよってニュアンスなので、エリア指定しない都道府県や市町村もあります。[/say] [say name="みみ" img="https://55smile.biz/wp-content/uploads/2019/08/5a832922bb7d603e273a02b39194f9d4.jpg" from="right"]建てられる人について限定していないので、誰でも建てられる可能性があるところがポイントです。不動産業者などの法人でも、開発許可を取得できる可能性があります。[/say] この法律があるおかげで、家を含めた建築行為が厳しく制限されている市街化調整区域でも家を建てられるわけです。 「市街化調整区域の全部で家を建てられる」なんてことはありません。 エリアは厳密に限定されているのがポイントです。

11号区域に指定される=売れなかった市街化調整区域の土地が売れることになる。ということ

この限定されたエリアのことを、俗に11号区域”と呼んでいます。 地主さん目線の場合、11号区域に自己の土地が指定されると「今まで売れなかったほぼ無価値の土地がいきなり売却できるようになった」という事になります。 沢山の土地を所有している地主さんですと、1億円単位で販売可能になることもあるので、市街化調整区域では11号区域にエリア指定されるかどうかはとても重要になります。 なぜ値段が付くのかというと、第三者の購入者が新築できたり、場合によっては店舗や併用住宅、アパート等も建てられるようになるからですね。 [say name="みみ" img="https://55smile.biz/wp-content/uploads/2019/08/5a832922bb7d603e273a02b39194f9d4.jpg"]市街化調整区域なのにアパートが建ったり、建売住宅が販売されているとしたら、かなりの割合でこの法律を根拠に建築したと思って良いと思うよ。[/say] では、具体的にどんなエリアが建築を比較的容易とする11号区域に認められるのでしょうか?法律を交えて解説していきます。 以下が都市計画法の文章となりますが、一読しましてもサッパリ訳が分からないはずです。
十一 市街化区域に隣接し、又は近接し、かつ、自然的社会的諸条件から市街化区域と一体的な日常生活圏を構成していると認められる地域であつておおむね五十以上の建築物(市街化区域内に存するものを含む。)が連たんしている地域のうち、政令で定める基準に従い、都道府県(指定都市等又は事務処理市町村の区域内にあつては、当該指定都市等又は事務処理市町村。以下この号及び次号において同じ。)の条例で指定する土地の区域内において行う開発行為で、予定建築物等の用途が、開発区域及びその周辺の地域における環境の保全上支障があると認められる用途として都道府県の条例で定めるものに該当しないもの 出典:都市計画法 e-Govウェブサイト
上記から読み取れることをわかりやすくまとめると以下のようになります。 ①市街化区域(=誰でも家が建てられる地域のイメージでOK)の付近にある市街化調整区域に限定している。 つまり、どこでもエリア指定できるわけではない。 + ②家が建てられると指定するエリアの市街化調整区域に住んでいる人が、近くの市街化区域に日常的に生活に強く関わっていると市町村等が認めること + ③そこそこの間隔で家が連なって既に建っていると認められる市街化調整区域。 つまり市街化調整区域の中でも、「ここら辺は昔から家が結構建っているな。」と言うエリアに限定されます。 これら①、②、③の基準を全てクリアしている地域に限定して都道府県や市町村が独自に「ここのエリアは市街化調整区域だけど、例外的に家を建ててもOK」としてくれます。 [say name="小森谷" img="https://55smile.biz/wp-content/uploads/2019/08/a9f357c06210fb5db7f2cfbf6762d5ec-e1567231372381.jpg"]すばるが不動産屋さんに言われた土地ってのは、これのことなんだよ。[/say] これだけですと、「なんで隣の家の土地は新築できるのに、うちは出来ないんだ」と怒り狂う地主さんが必ず出ます。 なので、都市計画法で不足している部分を [list class="li-chevron"]
  • 都市計画法施行令(=政令
  • 都市計画法施行規則(=省令
  • 開発許可制度運用指針
  • 都道府県や市町村が定めた条例
[/list] などで補っています。 これによって細かく上記の法律解釈が一律になるように設定されており、日本全国どこでもこの法律ルールの認識は大体の方向性は同じようになっています。 [say name="小森谷" img="https://55smile.biz/wp-content/uploads/2019/08/a9f357c06210fb5db7f2cfbf6762d5ec-e1567231372381.jpg"]例えば・・・埼玉県の条例では”五十以上の建築物が連たん”という定義をきっちり明確にしています。みみ、教えてあげて。[/say] [say name="みみ" img="https://55smile.biz/wp-content/uploads/2019/08/5a832922bb7d603e273a02b39194f9d4.jpg" from="right"]例えば家が連なっているといっても、その間隔は50メートル以内の間隔でないとダメ。お隣さんが80メートル先にあるような市街化調整区域では、11号区域としてエリア指定はされないよ。[/say] このように地域によって大きな差があるのは”条例”ですね。 これによって、全国的に存在している11号区域というものにもある程度の地域差が生まれているわけです。

うちの土地は市街化調整区域だが、11号区域に指定されているかどうかを確認したい。

まずは”市町村名 + 都市計画法第34条第11号”、”都道府県名 + 市街化調整区域 + 建築”等のキーワードで調べてみましょう。 例えば久喜市の場合ですと、以下のようにマップで11号区域にエリア指定されているかがネット公開されています。 このケースですと、すぐに自分の土地が11号区域か否かが確認可能です。
久喜市 市街化調整区域 11号区域 出典:久喜市 ホームページ 区域指定図(変更後)
ネット上で公開されていない場合は、直接市役所に確認をすることになります。 窓口の名前は”都市計画課”や”まちづくり課”が多いです。 [say name="小森谷" img="https://55smile.biz/wp-content/uploads/2019/08/a9f357c06210fb5db7f2cfbf6762d5ec-e1567231372381.jpg"]市町村が11号区域に関する権限を持っていないこともあります。この場合は、都道府県に聞くことになります。[/say] 例えば埼玉県ですと宮代町、越生町、鳩山町がそうです。 なので埼玉県のホームページで確認ができます。

都市計画法34条11号の市街化調整区域で建築できるもの

結論から言うと、 住宅・共同住宅(アパート)・寄宿舎・兼用住宅(住宅と店舗がある建物)・幼稚園・小学校・中学校・高校・図書館・博物館・神社・寺院・教会・保育所・公衆浴場・診療所店舗・飲食店・交番・郵便局 等になる市町村や都道府県が多いです。 例えば店舗や飲食店は150㎡以下という制限があるなど、具体的に建築したいものがある場合はちゃんと確認が必要です。 これは建築基準法の別表第二 (ろ)の基準と同じでして、第二種低層住居専用地域内に建築することができる建築物のことを指します。 埼玉県では、埼玉県庁の直轄エリアである宮代町等はまさにこれに該当します。
第5条 法第34条第11号の規定により開発区域及びその周辺の地域における環境の保全上支障があると認められる予定建築物等の用途は、建築基準法(昭和25年法律第201号)別表第2(ろ)項に掲げる建築物以外の建築物とする。 出典:埼玉県都市計画法に基づく開発許可等の基準に関する条例
これをわかりやすくお伝えすると、環境の保全を損なうような建物ではない住宅やアパートとかは建てても良いよ。ってことになります。

都市計画法34条11号の区域が出来てから、街はどうなった?

条例によっては法人でも開発許可が取得できるため、建売住宅や開発造成された土地が一気に出回りました。 例えば久喜市では、安くて広い土地をウリにして下記のような物件が大量に出回りました。 [list class="ol-circle li-accentbdr acc-bc-before"]
  1. 造成工事済みですぐに建築できる、注文住宅用の土地
  2. 建売住宅
  3. アパート
  4. 買主が開発許可を取得する条件の売地
[/list]

市町村ごとに、建てられるものをより制限することもある

注意すべきポイント:市町村によっては上記の基準よりも規制をより厳しくしているケースも多いことです。 以下は羽生市のケースを紹介します。
(環境の保全上支障があると認められる予定建築物等の用途) 第4条 法第34条第11号の規定により開発区域及びその周辺の地域における環境の保全上支障があると認められる予定建築物等の用途は、居住の用に供する一戸建ての住宅(賃貸の用に供するものを除く。)以外の建築物とする。 出典:羽生市都市計画法に基づく開発許可等の基準に関する条例
これをわかりやすく伝えますと、一戸建ての家はOKだけど、賃貸目的の家はダメ。アパートも建ててはダメ。 ということになります。 ちなみにアパートの建築が可能かどうかは、大きな差があります。 市街化区域よりも安くて広い土地を求める都内の裕福な投資家が、土地を購入するなどのニーズもあるからです。 つまり、市町村によっては家以外は基本的に建てることができませんよ、という風に決められているケースもあります。

11号区域の買い方・売り方とメリットについて

11号区域の買い方とメリット

広告に”都市計画法第34条第11号”であれば、間違いありません。 ”市街化調整区域:どなたでも建築可能”と書いてある物件であれば、100%ではありませんが大体は11号区域のことです。
他にも例外的なパターンがあり、これらを全て解説すると1冊の本が出来上がるくらいになりそうです。
メリットは市街化区域に比べて、安くて広い土地を取得することができること。 駐車場は少なくとも3台以上は十分に可能です。 条例によって、基本的に11号区域の土地は最低でも200㎡以上ですから、これでも60坪もあるということです。 [say name="すばる" img="https://55smile.biz/wp-content/uploads/2019/08/70e183cf13277317cb6ad93b719b92ed-e1567387288921.jpg"]埼玉県内では300㎡以上という物件が多いんだよね。つまり90坪の土地だ!![/say]

注意点:150坪以上の土地は買っても家が建てられない?

これは農地法のルールが影響しています。 市街化調整区域である11号区域の土地の多くは農地ですから、このルールを守らねばなりません。 結論から言うと特殊な事情を除いて、500㎡を超える土地を買って家を建てることが認められることはありません。 これに該当する土地を売買する場合は、事前の調査が重要です。 詳細は別記事にて解説しますが、ご注意ください。

11号区域の売り方とメリット

メリットは何と言っても、市街化調整区域にもかかわらず色々な方法で売却が可能な点。 基本的に農地転用許可+開発許可が必要ですので、現金が入ってくるのは早くとも数か月~半年後になるため不動産屋さんと最適な売り方を相談する必要があります。 特に相続税絡みですと、10か月以内というタイムリミットがありますので売り方には特に注意します。
個人のお客さんを探すより、業者買取をしてもらうのが現金化スピードは早いです。
条例等で建売住宅を建築可能とされている場合は、飯田グループ等の建売住宅の専門会社へ売却することも可能です。 土地を転売するだけの不動産業者に比べて、建売住宅という付加価値をつけて販売するため売却額が高くなる可能性が高いのがオススメポイントになります。 1000坪の土地を売却する場合、1区画90坪にわけると最低でも11回も売買をしなければなりません。 土地についてのクレーム等がある可能性は11回も取引をすれば、それだけ増します。 これを建売住宅会社へ売却すれば、たった1回で取引は済みます。 取引の窓口が1本化する意味でも、優秀です。

市街化調整区域である11号区域のデメリットについて

都道府県や市町村が11号区域のルールを変更することがある

上記の羽生市のように、11号区域で建てられるものが厳しくなるケースがあります。 テレビで当時見た人もいるかもしれませんが、NHKのクローズアップ現代で羽生市は「空き家問題」の例として報道されていました。 つまり羽生市はもともと11号区域にアパートを建てれたわけです。 しかし、大手のアパート建設を得意とする会社が信じられないレベルの棟数を短期間で建築してしまい、アパート建築は規制されることになりました。 [say name="小森谷" img="https://55smile.biz/wp-content/uploads/2019/08/a9f357c06210fb5db7f2cfbf6762d5ec-e1567231372381.jpg"]ちなみに、私の実家の周りも11号区域でして、アパートがここ10年で20~30棟も付近に乱立しました。[/say] リンク:「都市計画法第34条11号運用見直し(案)」の意見募集結果

都道府県や市町村が11号区域を変更・廃止することもある:久喜市のケース

こっちの方が怖いですね。 地主さんにとっては、11号区域から外されることで「土地が売れなくなる」 買主さんにとっては、11号区域から外されることで「不動産価値が下がる」等のリスクが常にあります。 定期的な道路舗装・下水道・都市ガスなど、インフラ設備が整う期待も薄くなるでしょう。 これは都道府県や市町村が条例を変更した結果です。 人口減少社会、高齢化社会、コンパクトシティの推進中の日本ですから、基本的に11号区域は減少傾向にあると推測します。 なのでリスクは無視できません。 市町村や都道府県の判断でいきなり家を建てることも売ることも出来なくなる土地に変わるリスクは相当大きいです。 [say name="小森谷" img="https://55smile.biz/wp-content/uploads/2019/08/a9f357c06210fb5db7f2cfbf6762d5ec-e1567231372381.jpg"]実際にはいきなり一切の家が建築不可となるのではなく、11号区域から12号区域に変更されるなどの制限が加わることになるようです。[/say] ※12号区域については別記事にて解説します。 以下はその逆で、市町村が11号区域のエリアを増やした例です。
条例で指定する土地の区域(都市計画法第34条第11号に基づく区域) 変更後の指定区域は、以下の区域です。 変更後の指定区域 地区名 土地の区域 久喜地区 栗原の一部、青毛の一部、野久喜の一部、古久喜の一部、西の一部、吉羽の一部、吉羽4丁目の一部及び久喜北1丁目の一部 菖蒲地区 菖蒲町上栢間の一部、菖蒲町下栢間の一部及び菖蒲町三箇の一部 栗橋地区 高柳の一部、佐間の一部、間鎌の一部、北広島の一部、中里の一部、小右衛門の一部、栗橋の一部及び松永の一部 鷲宮地区 八甫の一部、鷲宮の一部、中妻の一部、上内の一部、久本寺の一部、東大輪の一部、西大輪の一部、外野の一部、上川崎の一部、葛梅の一部、鷲宮3丁目の一部、鷲宮6丁目の一部、鷲宮中央1丁目の一部、砂原1丁目の一部、桜田2丁目の一部及び桜田5丁目の一部 出典:久喜市 都市計画法第34条第11号に基づく区域指定を変更しました
そう、スマイルホームがある久喜市では11号区域が増えました。
ちなみに、11号区域が増えると、その周辺の土地の値段は全体的に下がります。なぜなら、需要と供給のバランスが崩れるからです。
具体的には太字にした地名が新たに指定を受けた地域です。 つまり、これからは第三者に土地を売却することも可能となるわけですね。 逆に、久喜市高柳などの地域では11号区域を廃止されることになりました。 もし売却したいと考えている方は、令和3年4月1日の廃止日までに売却し、なおかつ買主さんが開発許可を取得しなければなりませんのでご注意ください。

埼玉県内の11号区域がある市町村一覧

市町村のホームページで公開されているものをまとめました。 以下のリンクから、11号区域(=家を建てることができる、売ることができる土地)かどうかが確認できます。 白岡市:都市計画法第34条第11号・12号について 蓮田市:都市計画法第34条第11号、第12号区域指定図の閲覧 羽生市:都市計画法第34条第11号及び第12号の規定による区域について 鴻巣市:ネット公開されていませんが、11号区域はあります。 北本市:都市計画法第34条第11号に基づく集落区域 桶川市:ネット公開されていませんが、11号区域はあります。 上尾市:ネット公開されていませんが、11号区域はあります。 宮代町、越生町、鳩山町:埼玉県のホームページ 幸手市:都市計画法第34条第11号及び12号指定区域について 杉戸町:市街化調整区域における都市計画法第34条第11号区域 さいたま市:存在しません。都市計画法34条14号の規定にて、対応しているのが実情です。 これは別の記事にて解説します。 [say name="みみ" img="https://55smile.biz/wp-content/uploads/2019/08/5a832922bb7d603e273a02b39194f9d4.jpg" from="right"]上記は一例です。[/say]

11号区域が廃止されるとどうなるか

近年の例ですと、クレヨンしんちゃんが住んでいる春日部市は11号区域がすべて廃止されました。
平成31年4月1日に、都市計画法第34条第11号の区域指定を廃止しました。 春日部市 都市計画法34条11号区域 廃止 出典:春日部市ホームページ
このように、条例で11号区域自体を廃止されるとそこの住民はどうなるか。 家の建て替え→できますが、上記の例ですとアパートの建て替えは許可がでない地域が出ることになります。 行政のルール変更の内容によっては、不動産としての価値も減少する可能性があるのは否定できません。 さらに、人口の減少は特に目立つ地域になるはずです。寂れていく。 なにせ、新規に家を建てることの出来る人が極端に減ります。 いわゆる分家住宅しか新築が増えませんので、人口は35年住宅ローンを完済する頃にはかなり減っているかもしれません。 街並みも雰囲気も、大きく変化があるはずです。 11号区域の土地が市場に溢れていた場合、それらの土地が一斉に消滅しますから市内の土地価格が上昇する可能性もあります。 [say name="みみ" img="https://55smile.biz/wp-content/uploads/2019/08/5a832922bb7d603e273a02b39194f9d4.jpg"]久喜市も11号区域・12号区域がもしも制限・廃止されたら、市街化区域の土地は値上がりするかも知れないね。[/say] [say name="小森谷" img="https://55smile.biz/wp-content/uploads/2019/08/a9f357c06210fb5db7f2cfbf6762d5ec-e1567231372381.jpg" from="right"]11号区域の土地を買う場合は、こういった長期的な視野も含めて考える必要があります。[/say]

11号区域で家を建てるにはどうすれば良いのか

開発許可:家を建てるのにかかる手続きと費用

開発許可の費用は誰が負担するか?→原則、買主が負担します。自分の家を建てるのに必要なものだからです。
売主は土地を売るために必要となる確定測量・分筆登記等の負担があります。目安ですが、測量費用は1区画で10~20万円前後かかると思ってください。
開発許可を得るための費用:市街化調整区域は家を建てることを厳しく制限しているため、必ず許可を取る必要があります。 埼玉県久喜市付近では一般的に30~50万円くらいが必要ですが相場は一概には言えません。 市町村が求める手続きが増えれば、その分費用は嵩むことになります。
開発許可を不要とする例外は一般の方ですと農業・林業・漁業を仕事にしている人だけです。
[say name="すばる" img="https://55smile.biz/wp-content/uploads/2019/08/70e183cf13277317cb6ad93b719b92ed-e1567387288921.jpg"]家を建てるのに余計に費用がかかるんだね。[/say] [say name="小森谷" img="https://55smile.biz/wp-content/uploads/2019/08/a9f357c06210fb5db7f2cfbf6762d5ec-e1567231372381.jpg" from="right"]開発許可には土地家屋調査士や行政書士、建築士の先生が関わるんだけど30~40種類ほどの書類を適法に整えなければならないため、自分で行うことは到底不可能です。そう考えると安いかもしれないね。[/say] 不動産会社が土地を販売している場合、既に開発許可を取って造成工事をして「後は買って家を建てるだけ」の状態になっていることもあります。 このケースは手間が大きく削減されているので、とても楽です。

土地を買ってから家を建てるまでにかかる時間は市街化区域の土地よりも長いのか?

システム上、長くなります。 以下は埼玉県久喜市でのケースですが、大体どこの市町村もかなりの時間を要します。 市街化区域の土地に比べて、どれだけ時間が余計にかかるかをお伝えします。 大きく分けて2つのケースがあります。 ①農地転用の許可+開発許可 販売されていた市街化調整区域の土地を新たに取得した場合、地目は田・畑などの農地と呼ばれるものが多いです。 なので農地転用の許可申請も同時並行して行います。 ざっくりと言って、約3~5か月は農地転用の許可+開発許可の取得までにかかります。 許可までの準備で約2か月~:確定測量、分筆登記、仮登記、図面作成を行い準備します。 農地転用と開発の申請で約1~2か月:市役所や都道府県等が許可を出すまでの期間です。 開発許可後の造成工事で約1か月:田や畑の状態から、家を建てるのに適した状態に工事する期間です。 ②上記のケースに加えて、売買する土地が農用地区域内の農地だった場合。 許可取得まで1年~2年がかりです。 こちらも別記事にて解説しますが、とにかく時間を要します。 [say name="みみ" img="https://55smile.biz/wp-content/uploads/2019/08/5a832922bb7d603e273a02b39194f9d4.jpg"]時間がかかりすぎるなあ・・・と思った人にオススメは開発許可を取って既に造成工事が完了している土地だよ。この土地ならすぐに家を建てることができるよ。[/say]

市街化調整区域で売りに出ている土地が最低300㎡以上なのはどうしてか

そのようなルールが実はあるからです。
(条例で建築物の敷地面積の最低限度に関する基準を定める場合の基準) 第二十九条の三 法第三十三条第四項(法第三十五条の二第四項において準用する場合を含む。)の政令で定める基準は、建築物の敷地面積の最低限度が二百平方メートル(市街地の周辺その他の良好な自然的環境を形成している地域においては、三百平方メートル)を超えないこととする。 出典:都市計画法施行令 e-Govウェブサイト
ここにある法律を踏まえて、埼玉県内の市街化調整区域の土地は300㎡以上、つまり90坪の大きさ以上なんですね。
200㎡以上から建築可能な市町村もあります。

住宅ローンを借りる際の注意点

11号区域はバリバリの市街化調整区域ですから、銀行によっては市街化調整区域はお断りというところもあります。
特にネット系銀行で良く見られます。
なので地域の事情を良く知る地方銀行や信用金庫、JAバンク、ろうきんなどが候補となります。 11号区域は市街化調整区域の中でも担保価値が相対的に高いため、貸してくれる銀行はちゃんとあります。

家を建てることが出来ないケースもあるのか?

困ったことに結構あります。 色々なケースを想定しますが、以下に1例だけご紹介します。 11号区域と指定されているエリアなのに、調査をしたところ自分の土地だけ11号区域ではなかったというケースがあります。 このケースは過去に農家をやっていて、補助金をもらっていたりという経緯が原因でそうなっていました。 こういうことになりますと、その土地は売れないということになります。 [say name="小森谷" img="https://55smile.biz/wp-content/uploads/2019/08/a9f357c06210fb5db7f2cfbf6762d5ec-e1567231372381.jpg"]市街化調整区域の土地は、別の事由で売買することができることもあります。こればかりはちゃんと調査しないと分かりません。詳しくはお問い合わせください。[/say]

既存宅地確認制度との関係

最後にこれについても触れておきましょう。 既存宅地確認制度とは、旧都市計画法43条1項6号に規定されていた要素でして2001年に廃止されました。 参考リンク:福岡市 既存宅地制度の廃止と許可制への移行(旧都市計画法第43条第1項第6号) この廃止された制度は、今回解説しました都市計画法34条11号とかなり似ています。 なぜかと言うと、この制度の流れを組んで2000年(平成12年)に追加された法律が都市計画法34条11号だからです。 つまり、誰でも建てられる市街化調整区域の土地というものが誕生したのは、2000年以降というわけです。 かなり最近のお話なんですね!

まとめ

今回は”市街化調整区域なのに建築の許可を誰でもカンタンにとれるエリアがあるのをご存知でしょうか。”というテーマで解説しました。 [say name="すばる" img="https://55smile.biz/wp-content/uploads/2019/08/70e183cf13277317cb6ad93b719b92ed-e1567387288921.jpg"]色々と見てきたけど、市街化区域よりも安くて広い土地なのはやっぱり魅力的だね。[/say] [say name="みみ" img="https://55smile.biz/wp-content/uploads/2019/08/5a832922bb7d603e273a02b39194f9d4.jpg" from="right"]だね。売買するには色々とハードルが高いから、不動産屋さんに相談してね。[/say] 今回の記事で見てきたように、少子高齢化・空き家問題・コンパクトシティ推進等の3大要因によって11号区域は今後減少していく可能性が高いです。 そして、条例で市町村や都道府県がルールを変更できるため、特に土地の所有者さんはちゃんと11号区域のことを理解しておく必要があります。 つまり、時間の経過とともに今なら売れる土地が売れなくなる可能性も十分あることにご注意ください。
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