【地盤が弱い土地の特徴】見抜き方を痛い目を見てきた経験者が語る
- 2020年/2月/27日
- 2020年/2月/27日
地盤が弱い土地(=軟弱地盤)に住むことの問題点・デメリット・被害
例えば小さいものだと、ブロックの傾き・崩壊や基礎のクラック(ひび割れ)・土間コンクリートの割れが起こります。
工作物は作ってしまったあとだと、カンタンに直せません。直すにも高額な費用がかかります。
大きいものだと、液状化現象・地盤の沈下で家が傾くなどの被害が起こるでしょう。
生活が困難となるほどのダメージを受けるかもしれません。
軟弱地盤では地盤改良・杭工事費用が総じて高額になります。
地盤改良費用は地中深くになるほど高額になり、さらに通常は家だけで済む地盤改良工事がブロック塀や玄関ポーチ付近や土間にも広がりますので高額になります。
家を建てるにしても地盤改良は特殊な工法になることもありますし、予想以上の出費になる可能性があります。
また、上記の理由から人気が高いとは言えず、軟弱地盤と知らずに買ってしまうと後で売るときに後悔するかもしれませんね。
不安になるかもしれませんが、”これで地盤対策は充分だ”と明確に言いきれないのが最大の不安要素です。
地盤が弱い土地=軟弱地盤の特徴とは
上記のような地盤が弱いゆえのトラブルを起こしやすい土地であると言えます。 加えて軟弱地盤は低地(=周囲よりも低くなっている土地)に多くが存在しており、冠水被害もセットである可能性が高いです。 参考記事:【冠水被害】水害地域で家を買う前に知っておきたいことまとめ【水災】
水害地域と聞いたら軟弱地盤も頭に浮かび、軟弱地盤と聞いたら水害地域を連想してしまうわけです。
お客さんからすると、軟弱地盤の充分な説明を受けて承知の上での購入なら問題はありませんが、そうでない場合はたまったものじゃないでしょう。
不動産会社からすると、こういった地盤の弱い土地を販売するとクレームになる可能性が高くなります。
では、どうやって軟弱地盤を見分ければ良いのか?
軟弱地盤の特徴を踏まえて解説していきます。
地盤の弱い土地=軟弱地盤はこう見抜く:現地を見る
塀・ブロックを見る
軟弱地盤にある塀・ブロックには特徴があります。 軟弱地盤では物を支える力が充分にありません。 そこに塀・ブロックを作ると、塀・ブロックの重みによって沈んでいきます。 ブロックは均一に沈みませんから、一方のみが傾いたり・斜めになったりします。 ひずみが生じてブロックに亀裂が走ることもあります。 [say name="小森谷" img="https://55smile.biz/wp-content/uploads/2019/08/a9f357c06210fb5db7f2cfbf6762d5ec-e1567231372381.jpg"]現地の周辺でそんなブロック塀はありませんか?あったら軟弱地盤の可能性があります。特に新しめのブロック塀がそうなっていたら要注意です。[/say] 対策:沈下が酷い地域ではブロック塀の下に地盤改良工事・杭工事を行います。土間コンクリートを見る
土間コンクリートとは家の駐車場スペースのために良く使われるコンクリートです。 これも軟弱地盤では沈んだり、傾いたり、割れたりします。 土間コンクリートが道路とほぼぴったりくっつけて作ったのに、隙間ができてくるのも地盤沈下が疑われます。 対策:コンクリートを打つと割れる可能性が高いので、砂利駐車場にする、枕木などの自然物を使うことも考える必要があります。水はけを見る
水はけの悪い土地=水たまりができやすい土地です。 こういう土地は地盤が悪い土地であることが多いです。 水たまりが多いということは、周囲より低くなっている土地でもあります。 水たまりがあり排水が悪い土地というのは、昔田んぼだったとか沼だったりします。 それが埋め立てられて駐車場になり、駐車場が住宅用の土地として売られて家が出来たりしますが地盤はそんなにカンタンに改善されません。 [card2 id="7642"]アスファルトを見る
アスファルトは主に道路(歩道含む)に利用される舗装のための素材です。 道路を見てみましょう。 道路のアスファルトが割れたり、沈んだり、うねうねしたり、盛り上がって見えたりしていませんか? 道路のアスファルトが、ぴったりとU字溝や側溝(そっこう)とくっついていますか? それとも離れてしまっているでしょうか。 [say name="みみ" img="https://55smile.biz/wp-content/uploads/2019/08/5a832922bb7d603e273a02b39194f9d4.jpg" from="right"]U字溝・側溝とアスファルトが離れてしまっているとしたら、地盤が弱いために沈下して剥離した可能性があります。[/say]U字溝・水路を見る
U字溝・側溝・水路を見てみましょう。 それらは全てサイズの規格があり、整然と真っ直ぐに並べられている必要があります。 つなぎ目は真っ直ぐで、ぴったりとくっついていなければなりません。 つなぎ目が離れてしまっているように見えたりすれば、沈下の影響を受けている可能性があります。 水が無い状態で底が見えるのであれば、底も見てみましょう。 つなぎ目が凸凹していませんか? [say name="小森谷" img="https://55smile.biz/wp-content/uploads/2019/08/a9f357c06210fb5db7f2cfbf6762d5ec-e1567231372381.jpg"]自動車の通り道になるU字溝・側溝が落ちて沈んでしまっていることがあります。これはクルマの重みで側溝が沈んでしまっているんです。側溝の下には地盤改良をしていることも多いですが、地盤が悪すぎる地域ではそれでも沈んでしまうんですね。[/say] 対策:行政や開発業者によって沈下をしないように地盤改良工事・杭工事を行います。 ※松杭(まつぐい)といって、松の大きな杭を打ったりします。家を見る
玄関前の階段を見る
玄関前の階段を見てみましょう。 階段と階段のつなぎ目に隙間が出来てきていたり、沈下していたり、表面タイルが割れていたりしませんか? 軟弱地盤地域では大体この玄関ポーチ前の階段部分に異常があります。 [say name="小森谷" img="https://55smile.biz/wp-content/uploads/2019/08/a9f357c06210fb5db7f2cfbf6762d5ec-e1567231372381.jpg"]家が乗る部分はしっかりと地盤改良されているので問題なくとも、外構時につける継ぎ足した玄関前の階段が沈下していたりします。[/say] 家には基礎工事の際にしっかりとコンクリートが打ってありますが、階段部分は外構工事の際にとってつけた感じで設置することも多く軟弱地盤の影響を受けやすくなります。 対策:地盤改良・杭工事を行った上で階段部分を設置する建物基礎を見る
建物の基礎表面を見てみましょう。 ひび割れたり(クラックという)していませんか? もしひび割れ・亀裂のようなものを見つけたら、そのヒビが0.5ミリ以上だと補修が必要なレベルです。 なぜかというと、そのヒビから水が侵入して内部の鉄筋を腐らせたり、水分が凍結・膨張してコンクリートにダメージを与えるからです。 確認にはシャープペンシルを用意してみてください。 シャープペンシルの芯を突き刺して、入ってしまうようなら0.5ミリ以上が確定ですので軟弱地盤を疑います。 対策:家を建てる前の地盤調査および地盤改良工事を確実な方法・施工でしっかり行う。付近を見る
川・水路・暗渠はあるか
川は周囲よりも低いところに流れています。 川が近いということは、大昔から河川の氾濫時には水没して地盤をぐちゃぐちゃにしていった可能性があります。 [memo title="MEMO"] 天井川は例外で、川床がとても高くなります。 参考リンク:天井川 フリー百科事典ウィキペディア(Wikipedia) [/memo]暗渠(あんきょ)とは地下に隠れている、目に見えない水路・川です。
これも川と同じです。
ただ、見えにくいので注意が必要です。
近くにあると地盤の弱さの判断に役立ちます。
[say name="みみ" img="https://55smile.biz/wp-content/uploads/2019/08/5a832922bb7d603e273a02b39194f9d4.jpg"]隠れているから見えないの。例えば道路の下とかに川があったりする。それが暗渠だよ。[/say]
[say name="すばる" img="https://55smile.biz/wp-content/uploads/2019/08/70e183cf13277317cb6ad93b719b92ed-e1567387288921.jpg" from="right"]ええ!?なんだか不思議だね。[/say]
高い土地か低い土地か
周囲よりも高い土地は地盤を弱くする要素が少ないです。 周囲よりも低い土地は常に水害等の被害を受けてきた可能性の高い土地と言えます。 周囲より高い土地=地盤が強い 周囲より低い土地=地盤が弱い という風に考えて基本的にはOKです。 [say name="すばる" img="https://55smile.biz/wp-content/uploads/2019/08/70e183cf13277317cb6ad93b719b92ed-e1567387288921.jpg" from="right"]もちろん例外もあるよ。[/say]近隣住民に聞く
”昔は田んぼだったなあ” ”ここら辺は昔から水害が多かったが、最近は市役所が対策をしてくれてだいぶ良くなった。” など貴重な情報を得られます。 [card2 id="7409"]データから見る
地名を見る
軟弱地盤の区域は河川や田(=水田)、そして低地に親和性が高いので、下記のような漢字のつく地域では少し警戒をすることがあります。 水にまつわる漢字の地名=滝・沢・池・泉・川・沼・堤・橋・瀬・潟・蒲・堤・湖・江・洲・港・津・浅 [say name="すばる" img="https://55smile.biz/wp-content/uploads/2019/08/70e183cf13277317cb6ad93b719b92ed-e1567387288921.jpg"]河などの”さんずい”がつくのは全部水に関りがありそうだね。[/say] 田んぼ・水辺の動植物等にまつわる地名=田・蓮・稲・芦・蒲・葦・鴨・鶴・魚・貝など [say name="小森谷" img="https://55smile.biz/wp-content/uploads/2019/08/a9f357c06210fb5db7f2cfbf6762d5ec-e1567231372381.jpg"]田んぼだったところで、地盤が強かったところはお目にかかったことがありません。ちなみに畑については、地盤が強くて地盤改良工事をせず直接基礎工事をしたことも多々あります。[/say] [say name="みみ" img="https://55smile.biz/wp-content/uploads/2019/08/5a832922bb7d603e273a02b39194f9d4.jpg" from="right"]新田・中田・本田・前田・三田・森田・早稲田など、田にまつわる地名はたくさんあるんだよ。[/say] 土地が周囲より低いことがわかる地名=低・谷・下・窪・落・堀 ちなみに、私が知っている中で最悪の地盤と思った地域には上記の漢字がしっかり入っていました。地図を見る
土地条件図などで過去の土地利用がわかります。 過去の土地利用が分かれば、地盤の強弱も大体わかります。 だから地図を見るわけですね。土地条件図とは 土地条件図は、防災対策や土地利用・土地保全・地域開発等の計画策定に必要な、 土地の自然条件等に関する基礎資料を提供する目的で、 昭和30年代から実施している土地条件調査の成果を基に、 主に地形分類(山地、台地・段丘、低地、水部、人工地形など)について示したものです。 引用:国土交通省 国土地理院 土地条件図について
これだけは確認!地盤の弱い地形を最速チェック
参考リンク: 土地の成り立ち・土地利用・地形分類 国土交通省 国土地理院 上記のリンクは 土地の成り立ち・土地利用 > 地形分類(自然地形)・地形分類(人工地形)を反映させたカスタマイズ設定でして、住宅診断のプロであるホームインスペクター御用達です。 自然地形の分類だけでなく、人工的な盛り土地域かどうかもわかるので重要なヒントになります。 [say name="小森谷" img="https://55smile.biz/wp-content/uploads/2019/08/a9f357c06210fb5db7f2cfbf6762d5ec-e1567231372381.jpg"]ベテランの一級建築士先生でホームインスペクションの検査員でもある方に教わったので、自信をもってオススメいたします。[/say] [alert title="軟弱地盤が疑われる地図上のワード"] 谷底平野・氾濫平野 海岸平野 三角州 後背低地(=後背湿地) 旧河道 高水敷・低水敷・浜 湿地 農耕平坦化地 高い盛土地 埋立地 干拓地 凹地・浅い谷 砂州・砂堆・砂丘 [/alert] なぜ軟弱地盤の危険性が高いかというと、全部水にまつわる地形だからです。 水を含んだ土地は軟弱地盤です。 参考リンク:地理院地図 表示用凡例 国土交通省 国土地理院空中写真を見る
実際にどんな感じで土地を使われていたのか、チェックするのに役立ちます。 例えば葦の生えるような沼地や湿地であれば、やはり軟弱地盤を警戒します。 参考リンク:年代別の写真 1988年~1990年 国土交通省 国土地理院 こちらでは30年以上前の航空写真を見ることができます。 もちろん違う年代でチェックも可能です。液状化マップを見る
液状化すると家だけでなく生活機能を支えるインフラにも大ダメージを与えます。 たとえ家が無傷でも、インフラが回復するまで長期間に渡って住めなくなる可能性があります。液状化 強く激しい揺れが発生すると、地下水を含む砂地盤が本来持っている強度が失われ液体状になる現象をいいます。 液状化現象がおこると、ビルや電柱が傾いたり地中の土管やマンホールが浮き上がったりします。 引用:久喜市地震ハザードマップ 液状化可能性各市町村で作成した液状化危険性マップを確認することで、液状化地域をチェックします。 液状化地域=軟弱地盤地域というわけではないこともありますが、関連性も高いのでチェックするわけです。
埼玉県では、西部に山地、東部に低地が広がることから、全体的な傾向として、東部の荒川低地及び中川低地においては、相対的に液状化しやすくなっており、これに対して西部の山地では全体的に液状化しにくくなっています。 引用:液状化の被害予測 埼玉県埼玉県の総合サイトが言っている通り、荒川などの川付近、そして低地は液状化しやすいのですね。 ”市町村名+液状化” ”市町村名+液状化マップ” などで調べましょう。 参考リンク:久喜市防災ハザードマップ
地盤調査会社のデータを見る
地盤調査会社の大手であるジャパンホームシールドのサイトが地盤の判断に役に立ちます。 実際の地盤調査データが多数集まっており、目安となります。 参考リンク:ジャパンホームシールド株式会社 地盤サポートマップまとめ
今回は”【地盤が弱い土地の特徴】見抜き方を痛い目を見てきた経験者が語る ”というテーマで解説しました。 最後に注意して頂きたいのが、ブロック塀の傾きがあったから”ここは軟弱地盤だ!!”と確定するわけではありません。 付近の様子、土地の状況、過去の土地の利用状況等も踏まえて総合的に判断していき、軟弱地盤かどうかを推測するのです。 しかし実際に軟弱地盤かどうかは、その土地で地盤調査をしてデータを取得するまではわかりませんのでご注意ください。
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