この記事は以下のような人に向いています:パワービルダーに営業職として就職・転職を考えている方
パワービルダーとは?
主に新築一戸建てを大量生産・供給している会社です。
飯田グループホールディングスの一員である一建設・アーネストワン・飯田産業・東栄住宅・タクトホーム・アイディホームやアイダ設計・ケイアイスター不動産等が代表的です。
小森谷
せっかくなので、転職サイト等では書いていない系で、働いていて重要だと思ったことを紹介していきたいなと思います。
多分、このまま年月を重ねていったら新しい出来事と共に色々な気づきが風化して忘れてしまうかも。
おかげさまで苦楽あいまった貴重な経験をさせて頂きましたので、忘れる前に書いていきます。
お客様との接点は意外と少ない、3回だけ
実は新築住宅を買って頂くお客様との接点は3回しかありません。
①契約時
②物件の立ち合い時
※立ち合い=家の引き渡し前に不備がないかのチェックをすること
③引き渡し時
この3つだけです。
物件のご案内や住宅ローンも説明する不動産仲介業者さん(不動産屋さん)の方がお客様といる時間は圧倒的に多いということ。
特に完成物件を販売する場合、契約から引き渡しまでは3週間程度ですから、過ぎるのはあっという間です。
新築住宅を買われるお客様は小さなお子様がいて、まだまだお若いご夫婦が多いです。
つまり人生でも最も幸せな時期を過ごしているファミリーだということ。
絶望していて家を買う人なんて、いません。
お話ししているだけでこちらも幸せな気持ちになれるので、お客様とコミュニケーションを取ることは大きなやりがいになりました。
上記の2点を踏まえて思ったことは、絶対にお客様の対応には手を抜いてはいけないということです。
言い換えれば、どんな状況であっても全力を尽くす。
それでも色々な原因が重なってクレームになってしまうことはありましたが、大丈夫。
手を抜いて起きたクレームよりも、全力対応した場合のクレームは明らかに早く小さなレベルで解決します。
ありがたいことに、クレーム解決した後は最終的に感謝までされます。
仕事上では様々な雑務がありましたが、お客様への対応は常に最優先でなければならないと思います。
買主と直接の取引はほとんどない、というよりも取引できない
お客様との直接の取引、つまり売主として直接買主様と取引をするというケースは圧倒的に少ないです。
※一部の会社では直接販売を積極的に行うところもあるようです。
だから、不動産屋さんにお客様を新築住宅にご案内してもらい、紹介して頂くケースが99%くらいです。
なぜそうなのかというと、広告を全くしていないのでお客様は直接こちらに連絡することはありません。
稀に直接相談をされても、自社販売をやる余裕が無いからです。
新人の頃は毎年30棟前後は少なくとも販売から引き渡しまでを担当することになります。
他にも土地の購入や新築住宅の計画プラン、お客様対応、近隣住民の方への対応、工事会社への発注業務や工事現場のスケジュール手配等であっという間に時間は過ぎていきます。
コンプライアンスも年々厳しくなり、残業時間もしっかり管理されているため、労働時間は限られています。(良いことですね)
もちろん、直接販売に挑戦するのは良いことです。
しかし片手間に対応をしてお客様にご迷惑をお掛けするのは最悪です。
自社販売は片手間にやるような仕事ではありません。
ちょっとでもお客様とのコミュニケーションが不足すると行き違いとなり、トラブルとなります。
やるなら全力で、です。
営業所が異なると別の会社と思った方が良い
営業所が変わると、はっきり言って別の会社に来たようなものです。
パワービルダーは少数精鋭、普通の会社の営業職が1人あたり年間10棟を担当するのなら30棟やるということになります。
忙しい年は1年で50棟販売を担当することもあるでしょう。
ビビらないでください。
業務は毎年効率化が進んでおり、早く正確にできるようになっています。
だから1営業所にはせいぜい5人程度しか営業職はいません。
※本社だけは大所帯で環境が全く異なります
部長店、エリア長店は部長やエリア長がトップ。
上記のような上位役職者がいない場合、所長(=店長)がトップですから、所長次第で営業所の雰囲気は変わります。
5人前後のお店ですから、トップ次第で雰囲気はガラッと変わります。
つまりトップの働き方、姿勢、発言、考え方、立ち居振舞いが営業所の雰囲気を作る重要なファクターとなっています。
働きやすい環境かは、トップ次第です。
だから他の営業所に行けば全く雰囲気も違うし、仕事のやり方も違うなんてことはあり得るということです。
万一、そりが合わない所長が上司になってしまって毎日が楽しくなくても会社のせいにはしないでください。
別の営業所に配属されるチャンスを待ちましょう。
「なんてここは良い会社なんだ」と思える日がきっと来ます。
職人さんには敬意を持つこと
現場に行くと、職人さんがせっせと忙しそうに工事作業をしています。
必ず挨拶をしましょう。
集中していて挨拶が難しそうなら、彼らの目線に入るタイミングで会釈をしましょう。
(私は照れ臭くて会釈で済ますことも多かったなあ・・)
でも、なんで挨拶や会釈を必ず心掛けるかと言うと
職人さんに敬意を表すためです。
※本当は職人さんでなく、職方(=しょくかた)さんと呼んだ方が良かったりします。
職人が手を抜くのは、建築会社にも原因がある
「職人が手を抜いたからトラブルが起きて大変だ」
建築業界ではこういう言葉を良く聞きます。
まして、パワービルダーは職人さんに決して多くはないお金で沢山の仕事をしてもらっています。
むしろ沢山のお客様に低価格で新築住宅を買って喜んで頂くために、どちらかというと低賃金で作業をお願いしているのが現状です。
となると、余計に職人さんが手を抜いたり、いい加減な仕事をするリスクがあるのではと思われがちです。
中にはそういう人が残念ながらいることも否定はしません。
(こういうタイプの人は賃金の多い少ない関係なく手抜きする傾向にあるようです)
しかし、これは世の真っ当な職人さんをあまりに舐めた考えです。
彼らは自身の技術や仕事に誇りがあり、人間としての良心を持った方達です。
毎日、健康的に身体を動かしているだけあって、素朴で素直な方が多いのです。
こちらが敬意をもちつつも毅然とした態度で現場の不備を指摘すれば、必ず対応してくれます。
万一、職人さんをバカにした目で見ていればどうなるでしょうか?
決して言葉には出さなくても伝わってしまいます。
相手の態度は、自分の態度の鏡です。
自分はこうした現場で、手抜きトラブルが頻発するのだと感じています。
(もちろん、家を建てるということは複雑な作業の連続ですから手を抜かなくてもトラブルが起きることは多々ありますよ)
営業職には職人さんのように猛暑の日も酷寒の日も現場仕事に打ち込む技術も体力もありません。
だから、彼らをまず信頼し、敬意を表して一生懸命仕事をしてもらうことをお願いする。
常にこれを心掛ければ、少なくとも変なトラブルが起きる可能性は減ると思います。
協力会社には感謝を示す
協力会社への心構え
感謝を具体的な言葉で示すことです。
パワービルダーは低価格で高品質な住宅をお客様に供給するために、協力会社さんへ工事請負金額について交渉することは避けられません。
時には、「ほとんど儲けが残らないのではないか?」と思うような交渉をすることもあります。
いや、毎回かも知れません。
私の場合、この交渉が本当に苦手でした。
今振り返ると相手の立場を考えてばかりでもいけません。
こちらも利益を残せなければ、いずれ潰れてしまいます。
もう少しクールにビジネスライクにやれたら、仕事はより楽だったでしょう。
交渉がまとまり、相手企業の社長が「わかりました。その金額で仕事をしましょう。」と言ったら
”ありがとうございます”、と気持ちを込めて伝えることです。
交渉成立した都度、全てです。
機会があれば、社長や担当さんに会うたび言っても良いくらいです。
それだけで、仕事は円滑に進むようになります。
現場で大量のコンクリートの破片が出てきたとか、予想外のトラブルが起きたとき、協力会社さんと築いてきた信頼関係が試されます。
不動産会社には謙虚に腰を低くした人が勝つ
不動産会社の方への心構え
とにもかくにも、謙虚に、へりくだるということです。
パワービルダーは大量に土地を買って仕入れます。
そして新築住宅を土地の上に建てて、大きな付加価値をつけて販売をします。
不動産会社はパワービルダーに土地を買ってもらい、しかも新築住宅の販売もさせてもらえます。
力関係としては圧倒的にパワービルダー>>>不動産会社です。
大体、どこの不動産会社に行っても歓迎してくれます。
会社という自分の後ろにある会社の看板が大きいからです。
だからといって、ふんぞり返ることは御法度となります。NG中のNGです。
むしろ逆です。
誠実・謙虚に不動産会社と仕事ができる人こそ、優秀な人です。
社内でも実績を積んで偉くなった人や部下から尊敬されているトップは謙虚な人が多かったです。
キックバック等の金銭を渡されそうになったら
中には”新築住宅の現地販売”というお金になる見返りを求めて金銭や商品券を渡そうとしたり、接待する会社もあります。
不動産業界も激しい競争を繰り広げている世界ですから、こういったことに遭遇することもあります。
決して、受け取ってはいけません。どんな理由があってもです。
会社の強い立場を利用して金銭を受け取ることは会社への背信行為です。
社会全体の流れとして、不正行為にはより一層厳しい目が向けられています。
良くてクビ、悪ければ訴状が届き裁判です。
不動産業界・建設業界の世界は広いようで狭いです。
あなたが不正を行ったとすれば、関係筋にはたちどころに知られることになるでしょう。
また、受け取った瞬間に賄賂を贈った不動産会社との関係は逆転します。
あなたは致命的な弱味を握られて生きることになるでしょう。
どんな手を使っても優位な立場を形成したい不動産会社です、気付かぬところで金品の授受を録音録画されているかも。
その中で、真っ当に仕事に打ち込めますか?
自分なりの対処をお伝えしますと、まず”余計な隙を見せない”ということ。
経験を積むと、そういう会社は訪問した時のお店の雰囲気、スタッフの顔つき、社長の身なりや言動で自然とわかります。
それでも甘い誘いがあれば、”敬して遠ざける”ということです。
「ありがとうございます、お気持ちだけで十分です。今後ともよろしくお願いいたします。」
サッと帰ります。
これで2度目はありません。
クレーム・トラブルは毎日起きるのが普通
断言しますが、クレームやトラブルは尽きません。
これは建築という社会的責任の強い仕事に関わっていること、近隣の方と必ず関わりを生じる観点から避けることはできないことです。
働く前はお客さんからのクレームが1番大変だと思っていましたが、実際は建築現場の付近に住む方からのクレームがダントツで大変でした。
建築というのは近隣住民の方にとっても無視できない1大プロジェクトでして、「家が日陰になるから面白くない」「どうにかして工事を辞めさせよう」などという人間としての感情が時に噴出します。
それは当然のことであって、”家を建てる時はお互い様”の精神で通用しないケースもあるわけです。
一般常識が通用しない、理不尽な要求をする近隣住民の方もいます。
建築するために道路を通過するだけで、迷惑料として金銭を要求してくるような人もいました。(しかも建築現場から50メートル以上離れたところに住んでいた)
日当たりが悪くなるから、家を建てさせないよう工事の妨害をする方もいました。
時に話し合いが数時間にも及ぶこともあるわけです。
どんなクレームであれ、迅速に対応する方が、トラブルが大きくなる前に解決します。
でも、心の中ではあまり気にしないことです。
むしろ毎日生きている限り、仕事をしている限り、多かれ少なかれトラブルが起きない方が不思議だと考えるようになってから、楽になりました。
社内を見渡して上手くやれている人は、良い意味でマイペースだったり、気持ちの切り替えが早い人でした。
ちなみに、良い近隣さんも沢山いらっしゃいます。
そういった方があなたの心を明るく照らしてくれるのは言うまでもありません。
やっぱり、世の中捨てたもんじゃないですね。
後悔していること
①不動産業者周り
今となっては遅いのですが、もっと不動産屋さんへ定期的に顔を出したり、ちゃんと時間を作ってこまめにメールや連絡を取れば良かったなと思うのです。
今は仲介業者として働いていますが、良く顔を出したりしてくれるパワービルダーの営業さんはやはり一部の方に限られる印象です。
やはりそういった営業さんのいる営業所の物件へのご紹介・案内は、普段以上に力が入ります。
単純にその営業所さんの力になりたいというカンタンな動機ですけど、それが人情というものだと思っています。
②CADのマスター
CADとは建築図面等を作るのに必須のソフトです。
これに取り掛かるのが私は遅くて、どうしても疎かになってしまいました。
建売住宅の事業計画を立案するには、家の間取りと土地の最適化利用が重要なポイントです。
CADをマスターしていれば手書きよりもスムーズに仕事ができます。
職場で許されるのなら、今は直感的に図面が作れるCAD以外の便利なソフトもあるのでそちらを使っても良いのでしょうね。
参考リンク:3Dデザイナーシリーズ
まとめ
今回は”パワービルダーに営業職として就職・転職を検討中の方へ伝えたい7つのこと”というテーマで話しました。
建設業・不動産業の中でもパワービルダー業界はまだ年月も浅いため、私が働いている間にも大きな動きが何度もありました。
休日の日数にしても、10日以上は増えましたし、残業時間も効率化の進展により30~50時間くらい減ったりしました。(ありがたいことです。)
全国展開をしているので、地方勤務であっても都内勤めの方と変わらない給与体系であることも私にとって魅力的でした。
これからも進歩していけば、さらに魅力的な職業になるはずです。
注意点としては、ステップアップ転職という概念はほぼ存在しません。
パワービルダーの上位的な立場にある業界もありませんから、業界内で頑張ることになります。
給料と立場を上げていくのならパワービルダーの業界内を転職で渡り歩くよりも、最初に勤めた会社で精一杯頑張って上を目指すのが良いですよ。
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